将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が3月2日、順位戦A級・最終9回戦で稲葉陽八段(34)に91手で勝利した。藤井竜王にとっては初めて経験する「将棋界の一番長い日」だったが、一斉対局全5局の中で最も早い19時52分で終局に、ABEMAの視聴者からは「概念覆しちゃった」「恐ろしい子…」と驚きの声が上がっていた。
藤井竜王は、最終局で第75期(2017年)名人戦挑戦経験を持つ強豪・稲葉八段と対戦。角換わり腰掛け銀の出だしから、藤井竜王が「珍しい筋だがやってみよう」と2筋の歩を突き捨てて稲葉八段を揺さぶった。中盤戦での工夫だったが、終局後に稲葉八段は「直前(玉引き)までは作戦。(別の手順を考えており)このタイミングで(2筋の歩を突き捨て)は考えたことがなかった。受けに回り(用意と)全く違う展開になってしまったので、結果的に上手いタイミングで歩を突かれたのかなと思います」。ここから藤井竜王がペースを掌握。その後も強気の攻勢でリードを切り開くと、19時52分、91手で快勝を飾った。
長い歴史を持つ名人戦の過酷な挑戦権争いに加えて、来期の順位、残留を巡る熾烈な戦いが繰り広げられることから「一番長い日」と呼ばれるA級最終一斉対局。例年、終局時間が日をまたぐことも多々起こるだけに、19時台と異例のスピード決着にファンは驚がく。視聴者からは「長く…ない!」「概念覆しちゃった」「恐ろしい子…」と多くのコメントが寄せられていた。
藤井竜王対稲葉八段戦は、最終一斉対局の全5局のうち最速での決着。本局は午前9時からの対局のため、これまでのA級8戦より1時間早いスタートだったが、藤井竜王の今期の順位戦A級の対局はいずれも23時以降の決着で日付を越え25時台の決着も4局あっただけに、本局の早い終局時間が際立つこととなった。
(ABEMA/将棋チャンネルより)