将棋の棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局が3月5日に行われ、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が渡辺明棋王(名人、38)に敗れ、シリーズを2勝1敗とした。棋界トップクラスの終盤力を誇る藤井竜王が、痛恨の詰み逃しで大逆転負け。誰よりも先に敗戦を悟ると「はあぁー」と声に出しガックリ、深いため息を漏らした。
あまりにも劇的な終盤戦に、各所から悲鳴が上がった。本局は、藤井竜王が勝率9割超えを誇る先手番。棋王位奪取と最年少六冠へ王手をかけ、角換わり腰掛け銀の出だしとなった。しかし、藤井竜王が中盤で強く玉を上がると、「少しつっぱり過ぎたか」。渡辺名人にリードを許し、超難解な終盤戦へと突入した。渡辺名人が決めきるかと思われたが、なかなか先手玉は寄せ切れない。互いに一分将棋に突入する白熱の大激戦から、藤井竜王が必死の粘りを見せた。終盤に圧倒的な力を誇る藤井竜王は、安全策を優先させる渡辺棋王から一時逆転。ABEMAの「SHOGI AI」は藤井竜王に勝率90%超えの数字を表示した。
ABEMAの解説陣も「すさまじい将棋」と想像をはるかに飛び越える大激戦に言葉を失う。解説を務めた戸辺誠七段(36)も「将棋界で一番詰めが強い男ですからね」と称する藤井竜王とあり、いよいよ勝負あったか。しかし、驚くことに藤井竜王がまさかの詰み逃し。あまりにもドラマチックな展開に解説者も大混乱の中、藤井竜王が誰よりも先に過ちに気付くと「はあぁー」とため息が声となり、静寂な対局室に響き渡った。
逆転に逆転が次ぐあまりにもドラマチックな最終盤。一手指されるごとに各所から悲鳴があがり、コメント欄は「ひえええええ」「あああああ」「なんてこと…」と悲鳴で埋め尽くされた。さらに、悔しそうに首を何度もガックリと折り、深いため息を漏らす藤井竜王の姿には「こんな藤井竜王、みたことない」「悔しさがあふれてる…」「ここまで荒れるのは珍しいね」のコメントも。渡辺棋王が接戦を制し、シリーズ初勝利を手にした。
終局後、藤井竜王は「最後に一瞬チャンスが来た場面もあったが、全体的に苦しい将棋だったので仕方ない。しっかり内容を振り返って次に繋げたい」とコメント。3月19日に栃木県日光市で行われる第4局へ、「切り替えて良い状態で臨めるようにと思います」と前を向いた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)