アメリカ相次ぐ銀行破綻 リーマンショックの悪夢再び? 日本への影響は?
【映像】リーマンショックの悪夢が繰り返される?
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 3月10日、資産規模全米16位のシリコンバレー銀行が経営破綻。

【映像】リーマンショックの悪夢が繰り返される?

 12日、資産規模全米29位のシグネチャー銀行が経営破綻。

 さらに13日、資産規模全米14位のファースト・リパブリック銀行の株価が一時80%近く急落。

 投資家の不安心理を示すVIX(恐怖指数)は一時30超となり、高い状態とされる20を大きく上回った。

 アメリカで一体何が起きているのか? 日本への影響はあるのか? など複数の疑問を 野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏に聞いた。

――アメリカで何が起きている?

「金融引き締めなどが銀行の経営に大きな打撃を与えました。なかでもシリコンバレー銀行の取引先はIT企業が中心、シグニチャー銀行は仮想通貨・暗号資産が中心でした。この2つのセクターはコロナ後のバブルが破裂したために特に大きな影響を受けたのです」(以下、木内氏)

――2008年のリーマンショックのような連鎖的な危機につながる?

「リーマンショックの時は大手行が破綻の危機に瀕しましたが、その教訓を受けて、グローバルな金融規制の強化が行われており、大手行は安定しています。破綻するのは今回のように個別の経営に問題がある中小銀行に限られます。連鎖破綻の懸念は出ていますが、対策をしているので大丈夫です」

――VIXも高い数値となったが。

「一方で金融市場の不安は残ります。利上げの影響でアメリカの景気が減速すると銀行は不良債権の問題が出てきます。企業の経営状態が悪くなると、企業が発行している社債、格付けが低いジャンクボンド(債権回収の可能性が低いとされる債券)や証券化商品の価格が大きく下がります。証券危機に中小銀行の不安が重なる状況に発展していく可能性があるのです」

――政策金利は上がり続けているが、今後、見直しの可能性は?

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「今回の件で、来週予定していた0.5%の再拡大はなくなり、0.25%に落ち着きそうです。つまり、今後も利上げは続くもののゆるやかになりそう、ということ。今の地点で金融市場の動きを見ると、景気が減速すれば今年の後半に0.5%くらいの『利下げ』の可能性もあります」

――もしそうなると、日本への影響は?

「為替市場でいうと円高ドル安などの流れになりやすくなります。これが急速に進むと日本経済にも影響が出ます。日本銀行の政策見直しのスケジュールが先送りされる可能性もあるのです。金融危機が直接日本に影響するわけではありませんが、アメリカの金融政策の見方の変化、それを受けた市場の変化が日本の経済・金融政策にも影響するのです」

――FRBは利上げをやめて銀行を守る、あるいはその逆で利上げを続けてインフレを下げる方向を続けるなど、舵取りは難しい?

「これまでは景気と物価を睨んで政策を決めてきましたが、先週末から金融市場の安定や銀行システムの安定という追加の要素が入ったので難しい。利上げを完全にやめるというよりは慎重になりながら利上げを続けるかと。とはいえ、利上げは最終局面です」

――急速な利下げに走ったら要注意?

「そうですが、過去のようにFRBが一気に金利を0%に下げてアメリカと世界救う、というストーリーは期待できません。なぜなら物価高への警戒があるためです。つまり、その分救われない部分が出てくるということ。利上げは打ち止めだとしてもまだまだ金融市場には不安が残ってしまうでしょう


(『ABEMAヒルズ』より)

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