【WBC・準々決勝ラウンド】日本代表9-3イタリア(3月16日/東京ドーム)
エンゼルスの大谷翔平投手が「3番・投手」でスタメン出場し、4回2/3で4安打2失点5奪三振と力投した。球速は自己最速にあと1キロに迫る164キロをマーク。メジャーの打者たちを翻弄したスライダー、スピリット、さらに昨季から投げ始めたツーシームも駆使し71球の全力投球だった。5回途中で降板する時には、髪が濡れているのがわかるほど汗びっしょり。これほど力と気持ちを込めて投げる大谷は見たことがない、というほどの熱さだった。
メジャーの大舞台でも立ち上がりはクール、勝負どころの6回、7回あたりでようやく声が出るかという大谷だが、この日は立ち上がりから叫びまくった。「うぉ!」「っしゃー!」と言葉にならないうめき声のようなものを、1回の初球から11球連続で発し、1回からストレートは160キロをマーク。特にペースを考えることなく、先頭打者から力と技を出し尽くしてねじ伏せるような投げっぷりだ。
2回にはさらに力がほとばしった。ストレートは164キロをマーク。日本ハム時代にマークした最速165キロまであと1キロと迫り、メジャー挑戦後としては自己最速だ。球種としてはカウントを取るのも決めに行くのもスライダーが多かったが、力を抜いた感じのボールは1つもなし。とにかく腕を振りまくった。
この日投げたのは71球。さすがにラストイニングとなった5回には制球を乱すシーンもあり、疲労の色は隠せなかった。それでも気持ちで投げる様子はチームメイトを鼓舞し、投手陣の好投リレー、打線のつながりも呼び込んだ。メジャーでは「Shohei Ohtani」が投打二刀流として大活躍し一躍、世界的なスター選手になったが、この夜に見せた姿は「真・侍モード」とも呼べそうな姿。世界一を取ろうという気持ちを、内容以上に投げ様で見せたマウンドだった。
(C)Getty Images