将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が、NHK杯トーナメントの決勝で佐々木勇気八段(28)に勝利し、初優勝を飾った。この結果、2022年度の将棋日本シリーズ、銀河戦、朝日杯、NHK杯と全4つの一般棋戦を制覇。史上初の快挙を達成した。
NHK杯は、持ち時間10分・切れたら1手30秒未満、考慮時間各10分の早指し棋戦で今期で72回目の開催と長い歴史を誇る。過去の最多優勝は11回の羽生善治九段(52)で、通算10回目の優勝時に名誉NHK杯選手権者の称号が贈られている。
藤井竜王は、第67回(2017年度)に最年少の14歳で初出場。これまでに優勝はなく、6回目で念願の優勝杯を手にした。佐々木八段との決勝戦を「相掛かりから力戦になって、中盤にかけては自信のない局面もあったんですけど、その中でも積極的に攻めていけたことが良い結果に繋がったかなと感じています」と振り返った。「今までも早指し棋戦ではなかなか結果を出せていないことが多かったので、今期は今まで以上に決断良く指そうと思っていました。“決断よく”という方針を最後まで貫くことができて優勝という結果に繋げることができて嬉しく思っています」と笑顔を見せた。
この結果、棋戦優勝は9回に。2022年度の将棋日本シリーズ、銀河戦、朝日杯、NHK杯と全4つの一般棋戦を制覇し、史上初の“グランドスラム”を達成した。年間を通してタイトル戦に出場し、全国を飛び回るハードスケジュールの中で前人未踏の大記録を打ち立てた藤井竜王は、「今年度、4つの一般棋戦で優勝できたことをうれしく思っています。早指しなので、決断よく指すことを意識していました。来年度もトーナメントで一局でも多く指せるよう、精進していきます」とコメントした。
(資料提供:日本放送協会)