
【WBC・決勝】日本代表3-2アメリカ(3月21日・日本時間22日/ローンデポ・パーク)
アメリカムードになりかけたところを、一振りで取り戻したのは“神様”の力だった。「5番・サード」でスタメン出場したヤクルト・村上宗隆内野手は2回無死、先頭打者として打席に入ると、初球を完璧に捉えてライト2階席に飛び込む特大の同点ソロを放った。「一振りで追いつけてよかったです。(感触は)完璧です」と自画自賛の一発。打った瞬間、村上本人も、相手投手も野手も、誰もがオーバーフェンスを確信する“金縛り弾”が、本場アメリカで飛び出した。
最強アメリカ打線にも3度のMVPを誇るトラウトをはじめ、タイトル獲得経験のある打者がずらりと並んだが、日本の三冠王もまるで負けていなかった。前日の準決勝、サヨナラ打を放つまで打率は2割を切るほど不振だったが、9回無死一、二塁からセンターフェンス直撃のサヨナラ2点タイムリーを放つと、これで完全覚醒。日をまたいで翌日の第1打席、最初のスイングで特大アーチを放つのだから、さすが“村神様”だ。
今大会、エンゼルス・大谷翔平投手が放った特大弾で「確信歩き」「確信立ち」など、様々な言葉が飛び交ったが、今回の村上の当たりは総立ちになったファン以外、全ての人が時間を止めたような「金縛り」。その一発だけで日本を鼓舞し、かつアメリカの勢いを消沈させる威力があった。
試合後、村上は「終わってみたらすごくなんというか、うれしい気持ちもありますし、悔しい気持ちもあるので、またひとつ自分自身レベルアップしたいです」と大会を振り返った。いずれ日本を飛び出し、メジャーを挑戦するかもしれない三冠王。その時には、WBC決勝で放った一発が、何度も繰り返し紹介されることだろう。
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