将棋を深く研究しているからこそ、今後活躍する若手の才能も見出されるのだろう。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送される。例年予選を勝ち抜き、本戦進出を果たしている渡辺明名人(38)は、今年も存分に大会を満喫するつもりでいる。前回大会では2巡目に指名した渡辺和史五段(28)が公式戦でも大活躍し、将棋大賞の連勝賞(20連勝)に輝いた。「自分の見立て通りだったかなと感心しましたよ。ははは」と大笑いしたが、やはり“目利き”の力も相当なものだ。今年、渡辺名人のお眼鏡にかなうのは、どんな棋士か。
タイトル通算31期の名棋士にして、いろいろな形で将棋界の仲間と発信を続けるエンターテイナー。フットサル、競馬、マラソン、カーリング、など趣味は多岐に渡る。大会恒例のチーム動画でも、後輩たちを引き連れてはあれやこれやとおもしろ動画を世に出している。
そんな渡辺名人だからこそ、ファンの声にも反応する。団体戦の過去3年は1巡目に弟弟子・近藤誠也七段(26)を選んできたが「視聴者的には『そろそろ変えろよ』みたいな声が多いんで、ちょっとどうしようかなと思いつつ考え中です」と、何か策を練っている。「同じような格の人がいれば(チームが)成り立つから。でもそんなにいっぱいいないからなあ」と、もちろん上を目指して戦える棋力を備えた棋士は選びたい。「取る2人の交流関係も考えるんですよ。あんまり知らない人で妙な三角形になるのもめんどくさいし。チーム動画も何にしようかというのは自分の中にあるんで、それができる人とか(笑)」と、3人とはチームとなれば考えることはたくさんあるらしい。
ここでファンが期待するのは、昨年の和史五段に続くホープの指名だ。「今年はそういう発掘系はあまりなくて。去年の和史はそこそこやるだろうなという自信はあったんですよ。なぜかと言われると、また(説明に)3分ぐらいかかるんで省略しますけど(笑)」。ただ、この「ない」という発言をすんなり受け取っていいものかどうか。戦略家であるだけに、実は隠し球が用意されているかもしれない。指名棋士が読み上げられるのは、藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)に続いて2番目。このタイミングでファンも驚く名前が出るか、注目だ。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)