将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送される。今年もドラフトで14チーム、エントリートーナメントで1チームの計15チームが結成され、スピーディーに繰り広げられる対局と棋士の素顔が垣間見ることができるチーム動画は必見だ。将棋親善大使を務める元乃木坂46の伊藤かりんは、トーナメントに初参戦する棋士たちに注目。「新しい風が入ると、スパイスが加わってパワーが増します」と新鋭にエールを送っていた。
団体戦となって4回目の開催となる今年の「ABEMAトーナメント」。ドラフト会議は、春の風物詩として定着しつつある。伊藤にとっても心躍るイベントのひとつとなっているようだ。
伊藤かりん(以下、伊藤) 「将棋はなかなか普段仲が良い棋士やプライベートの姿など横縦の繋がりが見えづらい世界です。それを垣間見ることができて素敵だなと毎年思っています。
ドラフトは年々、テーマを作らずに選ばれる方が多くなっているのかなと。初期の頃は“レジェンド”とか“麻雀”、“振り飛車”など、見ていてわかりやすいテーマがあったと思うのですが、最近は自分の戦法との相性や今強い人など繋がりが見えない。なんなら繋がりのない選び方をされている印象です。研究会のメンバーで組まれている方もいらっしゃると思いますが、普段接することのない方と接することで刺激になりとプラスに働くのではないでしょうか。繋がりのなかった先生方が将棋の話で盛り上がっている姿を見られると思うとワクワクします」
前回大会では、ドラフト指名がなかった棋士を対象としたエントリートーナメントを勝ち上がり、自力で出場権を獲得した折田翔吾五段(33)、黒田尭之五段(26)、冨田誠也四段(27)で結成されたチームが活躍。藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)率いるチーム藤井を破って本戦進出、さらには豊島将之九段(32)のチーム豊島に勝利してベスト8入りを果たすなど、その戦いぶりと熱いチームワークは見る者の心を震わせた。
伊藤 「予選を勝ち上がられたという事はフィッシャールールに強い、実績よりもルールに適した先生方だと思います。今年はどの先生が勝ち上がってくるかまだわかりませんが、間違いなく活躍されるはずです!」
さらに、渡辺明名人(38)も「ABEMAトーナメントは新人、若手棋士のお披露目の場」と表現したように、渡辺和史六段(28)、服部慎一郎五段(23)、斎藤明日斗五段(24)ら若手気鋭が連投連勝などで白星を積み重ねるなど存在感を示し、その名を上げた。
伊藤 「若手の先生方は三段リーグを抜けられてそんなに年数が経っていないので、瞬発力と実力を兼ね備えていると思います。今年は徳田先生(拳士四段)に注目しています!将棋人生をスタートさせた先生方の新しい風が入ると、スパイスが加わってパワーが増しリーダーの先生たちもグッと波に乗っていくのではないでしょうか。」
新人棋士たちへの注目はもちろん、今期はリーダーとして千田翔太七段(28)の参戦は一大トピックスと言えるだろう。
伊藤 「なかなか千田先生の素を知る機会がなかったので、チーム動画を最初に見たいです!以前、番組でご一緒させていただいたのですが、発言ひとつひとつにこだわりを感じました。どんなメンバーを選ばれるか本当に全く想像がつかなくて…。森(信雄七段)門下繋がりにはならない気がするので、千田先生が思う“今乗っている人”を選ばれるのでは。被りも考えずに指名が集中しそうな方に行って、くじ引きで負けているような気がします。くじ引きを外して苦いお顔をされているところまでは思い浮かぶのですが、誰を選ぶかは難しい…(笑)」
さらに、アーティストとしての活動も展開する伊藤としては、最近の千田七段のイメチェンはもちろん、棋士の公式写真にも注目しているという。
伊藤 「“アー写”…って言わないですか!?千田先生の“アー写”がすごくカッコよくなりましたよね!お写真はそれぞれ素敵なのですが、撮り直しや差し替えはご自身の判断と伺いました。『撮り直したらいいのに~~!』とは思うこともあります。山崎先生ずっと古いままなので…。たぶん15年くらい前のお姿でしょうか。でもそれぞれの“ありのまま”が伝わります。ABEMAトーナメントのお写真は毎年素敵なので、あのお写真を使ってほしいです(笑)」
さらに、今期から新設される『個人賞』もチェック。ドラフト予想はもちろん、さらに頭を悩ませているようだ。将棋大賞のような最多対局、最多勝、最高勝率の3部門に加え予選で最も活躍した棋士、初参加で最も活躍した棋士の、計5部門がある。昨年であれば、7戦全勝の佐藤天彦九段(35)が1.000で最高勝率、11勝3敗の服部慎一郎五段(23)が最多勝だ。また団体戦になった第3回から3大会の合算では、広瀬章人八段(36)が16勝6敗、勝率72.7%が最高勝率になっている。
伊藤 「うーん、敢闘賞には徳田先生が候補になると思います。過去3大会での勝率を見ると、広瀬先生がやはり強い…。でも、昨年のデータでは広瀬先生がいらっしゃらないけれどトータルで見ると上位にいらっしゃる。公式戦全て活躍されているイメージなので、ごっちゃになってしまう。データを見るとやはり実績に引っ張られてしまって難しいです!
前年優勝の稲葉(陽八段)先生も安定感が光ります。普段の対局でも強いイメージがありますし、お名前が挙がってくるのではないでしょうか。あとは菅井(竜也八段)先生ですね!菅井先生には振り飛車党の星として頑張っていただきたいです。非常に推しているので是非お願いしたいです!気付けば井上(慶太九段)一門推しでした(笑)!」
総勢45名の棋士たちが織り成すドラマに、伊藤もワクワクが抑えきれない様子だ。
伊藤 「去年の大会はもちろん、公式戦でも改めて先生方のすごさを感じた1年だったので、今年もいろんな波乱が起きることを楽しみにしています」
頂点に立つのはどのチームか、さらに個人賞を獲得して“主役”の座に就くのは誰か。予想はもちろん、対局にチーム動画と、どの瞬間からも目が離せない。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)