今年のコンセプトは「東海推し」だった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。個人、団体含め昨年初めて優勝を逃した藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)は、1巡目に澤田真吾七段(31)、2巡目には同じ杉本昌隆門下の兄弟弟子である齊藤裕也四段(25)を指名した。藤井竜王は愛知県、澤田七段と齊藤四段はともに三重県の出身。藤井竜王の活躍により、これまで以上に将棋で活気づいた東海地方のパワーを、この大会でも見せつける。
前回大会では親子ほど年が離れた大先輩2人を選んだ藤井竜王。結果はまさかの予選敗退と振るわなかったが、それでも時代を担ってきた先輩から、いろいろなことを吸収した。今年も先輩か、あるいは同年代かと、周囲からいろいろ予想が飛び交っていたところ、今年は東海地方で固めてきた。
1巡目は、デビュー以来の29連勝を果たした道中に対戦したことで話題にもなった澤田七段。「研修会で指導対局をしていただいたこともあります」と古い縁を明かした上で「今までトーナメントに出場されていなかったので、今回指名したいと思っていました」と、大会に新たなエキスを注入すると決めていた。続いて2巡目、齊藤四段は昨年10月にデビューしたばかり。「まだデビューしたばかりで、あまりよく知らない方も多いと思うんですが、結構序盤からこだわりのあるタイプなので、この大会での活躍にも期待しています」と、同門ならではの情報を提供した。
「藤井効果」もあり、名古屋には対局中ができた。今や新たな将棋どころとして年々盛り上がりを見せる東海地方だけに、この大会で他の競合チームを倒していけば、そのテンションもさらに上がる。「みなさん、このルールでの経験値もかなり上がってきています。こちらもしっかりルールの特性を把握して合わせていかないと」と、現役最強の六冠王もきっちり戦いに向けて気持ちを入れていく。「地元の方にも応援していただけたらうれしいですし、それに応えられる結果を出せたらと思います」。この3人の活躍次第で、東海将棋はまだまだ熱くなる。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)