将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。渡辺明名人(38)は「チームとしての動きやすさ」を軸に、趣味のランニングやサウナと普段から交流のある佐々木勇気八段(28)と、2022年4月にプロ入りしたばかりの岡部怜央四段(23)を獲得。仲の良さはファンの間でも有名な佐々木八段の指名については、「彼もそのうちリーダー側に回っちゃう。1回ぐらい同じチームでやっておきたいというのはありました」と胸の内を語った。
渡辺名人にとっては自身4度目となる団体戦。今期は、1巡目に佐々木勇気八段を指名した。佐々木八段といえば、前期の順位戦B級1組を9勝3敗で駆け抜け、見事初のA級昇級を決めたばかり。ランニングにフットサル、カーリングなど渡辺名人と多くの趣味の時間も共有しており、仲の良さはファンにも有名。指名の理由はもうひとつあり、「彼もそのうちリーダー側に回っちゃうので、そうなるとチーム組めるのも今回が最後かなと思ったので。1回ぐらい同じチームでやっておきたいというのはありました」と思いを語った。
2巡目には2022年4月に四段昇段を果たした岡部四段を指名。「新人なんだけど結構交流があって。佐々木勇気君が弟のようにかわいがっている存在なので、その点2人もやりやすいかなと思ってそういうチーム構成になりました」と普段の交流網からの選出となったようだ。
渡辺名人といえば、前回大会で2巡目に指名した渡辺和史六段(28)が公式戦でも大活躍し、将棋大賞の連勝賞(20連勝)に輝くなど新人棋士発掘の“目利き”力も抜きんでている。今期は岡部四段が渡辺名人のお眼鏡に適ったのだろうか?「もちろん将棋も期待しています。ただ、勇気が『フィッシャー適性はちょっと疑問だ』と言っていたんですけど…(笑)。でも岡部君が入るなら、勇気が一緒の方がやりやすいと思うし、萎縮せずできるのでは。ABEMAトーナメントは新人の皆さんの顔を売る場所にもなっている。いろいろなことを初めて体験して緊張もあると思うけど、僕と佐々木勇気は岡部くんにとってはやりやすいメンバーかなと。そういう意味ではいい機会かなと思いますし、普段どおりのびのびやってもらえたらいいなと思います」。
この3人がそろえば、フットワークの軽さは全軍の中でもナンバーワン!?渡辺名人としてもチーム構想は「チームとしての動きやすさはすごく考えた」と語っており、俄然チーム動画にも期待が高まる。「それはおそらく、ランニングか、サウナか、カーリングになるとは思います。そのあたりがスムーズかなと」。渡辺名人としては、それも織り込み済みの編成だったようだ。
息の合ったコンビネーションが見られそうなチーム渡辺だが、「結構どこのチームもメンバーをそこそこ集めてきた印象があって、予選から激戦になると思う」と決して緩みはない。以心伝心のチームワークを発揮し、目指すはもちろん優勝のみ。「引っ張っていければいいなと思います」とかわいい後輩たちを頂点へ導く覚悟だ。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)