世界最高のクラブはどこなのか? 恐らく、現在のサッカー界ではUEFAチャンピオンズリーグを制するチームが“世界一”と見なされるのだろう。だが、本当に世界中のクラブを対象にした場合、どの国のどのクラブが何位に入るのだろか?
そんな疑問に答えているのがデータ会社『Opta』だ。彼らは世界183か国の413リーグからおよそ「13,500クラブ」を対象に、データを駆使してクラブチームの世界ランキングを発表している。それでは、毎日のように更新される『グローバル・パワー・ランキング』を見てみよう。
[写真]=Getty Images
■グローバル・パワー・ランキングとは?
『グローバル・パワー・ランキング』とは、イングランドのプレミアリーグやJリーグ、さらにはサウジアラビアのクラブまで約13,500クラブを対象とした世界ランクのことだ。イングランドでは、世界最高峰のプレミアリーグはもちろんのこと、アマチュアの7部リーグまで計250以上のクラブが含まれている。
『Opta』は、1試合の勝敗を数値化して相対評価で実力を測る「Elo rating(イロレーティング)」という統計学を用いてチームをランク付けしている。試合ごとに「Eloポイント」を奪い合い、それにより順位が決まるというわけだ。その「Eloポイント」は、チームの所属する大陸連盟、サッカー協会、リーグ、そしてリーグ内の順位によって大きく変わる。例えば、イングランドのプレミアリーグで首位を走るアーセナルには高い「Eloポイント」が設定されており、彼らに勝ったチームは大幅にポイントを加算できるのだ。
そのポイントに応じて世界1位を100ポイント、最下位を0ポイントにして相対的な実力を順位付けするのが『グローバル・パワー・ランキング』だ。リーグ戦のみならず、チャンピオンズリーグなどのカップ戦の勝敗も加味して、毎日のように世界ランクは更新されている。
■世界のトップ10
4月4日付の『グローバル・パワー・ランキング』では、イングランドのマンチェスター・Cが1位に立っている。先週末のリーグ戦の前には、バイエルン(ドイツ)に1位を譲っていたマンチェスター・Cだが、直近のプレミアリーグの試合で強敵リヴァプールに4-1で快勝して1位に浮上した。とはいえ、2位に転落したバイエルンも「99.9ポイント」のため、ここは1試合の結果ですぐに変動するはずだ。
そんな両チームが来週のチャンピオンズリーグ準々決勝で激突することになる。まさに世界一を決める“頂上決戦”となるわけだから楽しみで仕方ない。
『グローバル・パワー・ランキング』で3位に着けるのはセリエAで首位を独走し、チャンピオンズリーグでもベスト8に進出しているナポリだ。33年ぶりのリーグ制覇が確実視される彼らは、少しトップ2に離された「96.4ポイント」で3位に着けている。
4位はラ・リーガで首位を快走するバルセロナ、5位はプレミアリーグで19年ぶりのリーグ制覇を目指すアーセナルとなっている。やはりトップ10は全てヨーロッパのクラブで占められており、世界最高リーグと呼ばれるプレミアリーグから最多4チームがランクインしている。
1位 マンチェスター・C(イングランド) 100.0ポイント
2位 バイエルン(ドイツ) 99.9
3位 ナポリ(イタリア) 96.4
4位 バルセロナ(スペイン) 95.9
5位 アーセナル(イングランド) 95.0
6位 レアル・マドリード(スペイン) 94.8
7位 リヴァプール(イングランド) 94.2
8位 マンチェスター・U(イングランド) 93.6
9位 ドルトムント(ドイツ) 92.8
10位 ユヴェントス(イタリア) 92.8
■その他の上位勢
フランスの巨星、パリ・サンジェルマンは先週末のリヨン戦に敗れたこともあり、9位から11位まで後退してトップ10から陥落。彼らは既にチャンピオンズリーグからも敗退しており、ここから一気に順位を上げるのは難しいかもしれない。
欧州5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)以外で最上位に入ったのはポルトガルのポルト。91.2ポイントで15位に着けている。さらに17位にベンフィカ(ポルトガル)、18位にザルツブルク(オーストリア)がランクインしている。
今季の欧州カップ戦に出場していないクラブで最上位に着けるのは19位のニューカッスル(イングランド)だ。エディ・ハウ監督の下で快進撃を見せるチームは、プレミアリーグでチャンピオンズリーグ出場権を争っており、先週末には見事な内容でマンチェスター・Uを撃破した。さらに、日本代表の三笘薫(25歳)を中心に同じくチャンピオンズリーグ出場権争いに絡んできているブライトンも世界で20位にランクインしている!
■欧州勢以外は?
通常ならばトップ50には南米勢も入ってくるのだが、ブラジル全国選手権がまだ開幕していないこともあって彼らは下位に低迷。南米勢で最高位はブラジルのパルメイラスで98位となった。そんな中、ヨーロッパ勢以外で最高位にランクインしたのはメキシコのチームだ。クラブ・アメリカが81位、モンテレイが82位に入っている。
アメリカ勢を見ると、2022年のメジャーリーグサッカーを制したロサンゼルスFCが最上位の184位にランクインした。38歳の元イタリア代表DFジョルジョ・キエッリーニを擁する彼らは、今季もここまでリーグ戦で無敗を誇っているほか、CONCACAFチャンピオンズリーグでは準々決勝に駒を進めている。
アフリカ勢では、南アフリカのプレミア・サッカー・リーグで最速記録となる7試合を残してリーグ優勝を決めたマメロディ・サンダウンズが最上位となる141位に入った。同クラブはCAF(アフリカ)チャンピオンズリーグでもベスト8に進出している。アフリカ勢で2位に着けるのはCAFチャンピオンズリーグで連覇を目指すモロッコのウィダード・カサブランカで、全体で見ると156位となった。
■アジア勢
気になるアジア勢だが、上位にはサウジアラビアのクラブが名を連ねた。アジアの最上位は、世界ランク95位に入ったアル・ヒラルだ。サウジアラビアの名門は2022年のAFC(アジア)チャンピオンズリーグで決勝に進出しており、およそ3週間後にアジアNo.1の座をかけて日本の浦和レッズとホーム&アウェイで対戦する。
アジア2位は同じくサウジアラビアのアル・イテハドで世界的に見ると97位。そして3位もサウジアラビア勢で、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(38歳)がゴールを量産しているアル・ナスルとなった(世界115位)。アジア4位は、韓国のKリーグ1で開幕から無傷の5連勝スタートを切った蔚山現代(世界ランク158位)。アジア5位はサウジアラビアのアル・シャバブ(世界180位)となっている。
日本勢の最上位は、アジア6位にして世界201位にランクインした川崎フロンターレだ。そして2位は昨年のJ1王者である横浜F・マリノスで、アジア7位、世界205位。昨年、熾烈な優勝争いを演じた2チームがトップ2に入る結果となった。一方で、アジア制覇を目指す浦和レッズは、日本で5位、アジアで15位、世界で307位に着けている。
果たして、今後はどの国のどんなクラブが順位を上げるのか? 世界中のクラブチームを対象にした世界ランクこと『グローバル・パワー・ランキング』に注目したい。
(記事/Footmedia)