将棋の渡辺明名人(38)に六冠保持者の藤井聡太竜王(20)が挑戦する第81期名人戦七番勝負第1局が4月5日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われている。
【映像】三枚堂七段の食レポと“修行”とも言われるほど大変な記録係の実情
「ABEMA NEWS」では名人戦の会場を取材し、将棋棋士の三枚堂達也七段に名人戦の裏事情や、将棋の内容に詳しくない人でも楽しめる名人戦の注目ポイントを聞いた。
大きなタイトル戦の度に注目が集まるのがプロ棋士の「勝負飯」や「おやつ」。午前のおやつで藤井竜王は「三重の塔をイメージした抹茶のバームクーヘン」、対して渡辺名人は「マカロンがのっているガトーオペラ」をオーダーした。
藤井竜王の注文したバームクーヘンを実際に口にしたABEMA NEWSキャスターの安藤咲良アナウンサーは「しっとり滑らかですね。上品な甘さで朝の脳を目覚めさせるにはちょうどいいかもしれません」。渡辺名人の注文したガトーオペラを口にした三枚堂七段は「チョコレートの味がしっかりしている。濃厚さだけでなく爽やかな味わい」と語った。
名人戦におけるおやつは午前と午後の2回。2回も「おやつ」が設けられている背景について、三枚堂七段は「対局中は非常に頭を使って脳をフル回転させるので、糖分の補給をしたり、リラックスする時間は重要」と説明。また「おやつ」には棋士それぞれにこだわりがあると語り、「チョコやフィナンシェのようなものやバナナ、みかんなどを持ち込む方も」。さらに三枚堂七段は加藤一二三元九段と対局した際のエピソードも披露。「加藤一二三さんと対局した時は円形のチーズをバリバリ食べていました」。
そして名人戦には対局者以外に多くの“裏方”が携わっているという。その一つが「立会人」「副立会人」という仕事。三枚堂七段は第一局の「副立会人」を務める。
三枚堂七段は「立会人」は対局における最高責任者であり、(2日制の対局で1日目の終了時に次の一手を記載する)「封じ手」の管理を担当すると説明。「副立会人」はスポンサーである新聞社の担当記者に将棋の内容を説明したり、「立会人」業務のサポートを行ったりするという。
将棋の対局において、もう一つ意外な注目ポイントも。向かい合った対局者の間に座る「記録係」という仕事。三枚堂七段によれば、「記録係」はプロ棋士になる手前の奨励会員が務め、「将棋の棋譜をつけるスコアラーのような役割」だという。
名人戦は対局者それぞれの持ち時間が9時間、2日間にわたって行われるが、「記録係は対局が終わるまでは基本的にずっと対局場にはりついている。お手洗いに頻繁に立つと対局の進行の妨げになるので、水分補給は最低限にする」と、“修行”とも言われているその苦労を語った。
藤井竜王の活躍を機に将棋が大きな注目を集め、「おやつ」など将棋の内容以外の部分にもスポットライトが当たる状況について三枚堂七段は「自分がプロになった頃にはおやつに注目が集まるとは思っていなかった。いろいろな角度から将棋を楽しめると棋士の側も面白いと感じている」。
藤井竜王が制覇すれば40年振りに史上最年少「名人」、さらに史上2人目のタイトル7冠が誕生。将棋界8大タイトルの「全冠制覇」にあと一つと迫る今期の名人戦シリーズ。開幕戦となる注目の第一局は6日夜には決着する見込みだ。
(ABEMA NEWS)