先月、どこよりも早くプロ野球の開幕戦が行われた、北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」。WBC優勝から凱旋した侍JAPANの栗山英樹監督が始球式に登場し、新時代の幕開けに花を添えた。
【映像】おいしそー! 公道の名前になった「ピザクック」のピザ(画像あり)
同球場は東京の不動産会社「株式会社日本エスコン」が国内最高額の5億円以上で命名権を獲得。近年、企業名や商品名がついたスタジアムなどの施設が相次いでいるが、先月話題になったのは“ある道路”の名前だ。
福岡県中間市は、市が管理する道の名称を募集。実際に命名権をピザチェーンが獲得し、「ピザクック通り」が生まれた。同市で有名な「ピザクック」の名を冠した道に、市役所の事業担当者は「どストレートな名前だが、みんな『あのピザクック?!』と食い付きが良い」と話す。
一方で「道路の名前を変えるのは、混乱を招く」と批判が出るケースもある。それでも事業開始に踏み切った理由について、ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した中間市長の福田健次氏はこう話す。
「地方の行政では、財政が大変だ。限られた予算の中でなかなかできないことが出てくる。お金を引っ張ってこなくてはいけないから、知恵を絞った。道路の命名権を買ってくれる企業があれば、それを財源として市民サービスに還元できるのではないかと思った」
公道への命名権は全国的にも珍しい。今回の事業によって、ふれあい大通りが「ピザクック通り」、水路上の緑道が「やすらぎ通り」と命名された。ネーミングライツ料は公共施設の草刈りの報奨金に使っているという。
ピザクック通りは5kmほどの道で、契約料は5年間で330万円だという。
福田氏は「なぜ330万円になったかというと、実は中間市の中に公園が81カ所ある。公民館を管理している自治会の方が高齢になって、草刈りが全然できなくなった。子どもたちが遊ぼうと思っても、草が生えてきてダメだと。お金を使って、公園を整備したかった。市民にもこれからは『ピザクック通り』と呼んでもらう」と話す。
中にはネーミングライツによって、名前が何度も変わる施設も存在する。数年ごとに公道の名前が変わると、市民の混乱を招かないか。
福田氏は「それはしょうがないと思う。もし変わるのであれば致し方ない」とした上で「大事なのは、市民が商品名やお店の名前を連呼してくれることだ。ネーミングライツは行政の一部分としても役に立つ」とコメント。
命名権を買った企業が、不祥事や事件を起こしたらどうするのか。
「買ってもらう前に担当が企業をしっかり調べている。不祥事や事件がなければいいが、世の中何が起こるか分からない。ひょっとしたらピザクックが世界に出るかもしれない。マイナス面ばかり考えるのではなく、企業のプラスになったらうれしい」
5年後、もし「もっとお金を出すから命名権を買いたい」と話す企業が出てきたら、乗り換えるのだろうか。競合した場合は入札になるのか。
「やっぱりお金をたくさん出してくれるところに乗り換えると思う。ただ、お金だけでなく、我々の街を共に発展させてくれる企業と組みたい。一緒に骨を埋めてくれる覚悟がないと、僕らは『ごめんなさい』と言うしかない」
福田氏は「行政は法律の中でやれることが非常に限られている」とした上で、「変化を求めることが非常に億劫になってしまっている。人から頼まれることを断るのが仕事だと思っている方が多すぎる。企業に頼るのではなく、企業を育てるのは市民の皆さんだ。施策で『誘致だけすればいい』とは思っていない」と語った。(「ABEMA Prime」より)
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