「急募 ランチホールスタッフ 時給2000円〜」中央区のとある飲食店の張り紙がある。人手不足とは言え、なぜここまで高設定なのか？ 利益は出るのだろうか？
【映像】アルバイトを始めれば「一時金5万円」という渋谷のラーメン店
東京都渋谷区にある多くの飲食店には、求人募集のポスターが貼られている。なかには、時給1800円を超えるところも。さらに、アルバイトで働き始めた時に一時金で5万円。半年経つとさらに5万円が貰えるという太っ腹なラーメン店もある。
中央区にある飲食店では、急募と書かれた張り紙が出されていて、「時給2000円から」と記載されている。
ハンバーグが人気の洋食店。新型コロナが落ち着いて客足が戻り、アルバイトを募集しているというが、なぜ時給2000円という高い条件を提示しているのか。
「やっぱり皆さんが上げられている分、我々が（時給）1200円でやってしまうと（応募が）絶対来ない。なかなかこういう個人の小さなお店には人が集まらないので」（TOP DINER責任者・倉持茂さん）
しかし、多くの店はまだ悩める状況にある。帝国データバンクの調査によると、約3割の企業が非正社員の人手が足りないと感じているそうだ。
なかでも「飲食店」は8割以上（80．4％）が人手不足に陥っているという。なぜ飲食店でのアルバイトを避けるのか。
「（周りで飲食店バイトしている人は）友達に1人いるかなくらい。いろいろ話してはいるけど、大学の友達はなんか大変そうだなと感じている」（大学生）
「クレーマーやいちゃもんをつけてくる人がいるから、その相手をするのがめんどくさいから嫌だ」（別の大学生）
なかにはこんな人も、
「自分がやりたいことや社会人になって繋がることをしたいと思っているので、そっちメインで考えている」（別の大学生）
人を集めるため、時給を1200円から800円アップし2000円に。TOP DINERでは実際に応募は増えたそうだが、経営を圧迫していないのか。
「2000円払って多くの方に来ていただいて、その代わり我々はぎゅっと絞って混雑している時間だけをアルバイトでカバーしようと。そういう意味ではお互いウインウインだとは思う」（TOP DINER責任者・倉持茂さん）
優秀な人材を選びやすくなり、短い時間働ける人や交通費のかからない近所の人を採用するなど、工夫できるようになりかえって人件費が抑えられているという。
2000円になると、働くモチベーションは変わるのか。女性店員は以下のように述べた。
「自分ができる仕事をすごく探すようになった」
こうした状況をなんとかすべく、ある方法で人手不足を解消しようと試みる飲食店も。
神田にある飲食店では、タブレットを使った新たな接客方法に取り組んでいるという。導入したのは、自社で開発した「リモート接客」システムで、タブレット端末を利用し、ビデオ通話形式で店員と直接話すことができる。
混雑時に別店舗の手が空いているスタッフが対応し、客がタブレットのボタンを押すと数秒後には、画面にオペレーターが登場する。
タブレットを利用したセルフオーダーは珍しいものではないが、なぜそこに接客機能を導入したのか。
「やっぱりホスピタリティ（おもてなし）が一つの付加価値となり、差別化の要因になる。セルフオーダーありきでタブレットを置いておくだけだと、お客様もそれで注文して、『はいおしまい』になるので、食材のこだわりだったり、食べ方だったりというのをちゃんと伝えることを大事にしたい」（瓦Tokyo代表・西田聡さん、以下同）
コロナの規制緩和による人手不足で、飲食や宿泊施設では特に働き手の需要が高まっている。しかし、SOICO株式会社 取締役COOの土岐彩花氏は、人手不足問題のほかに、生活水準が上がっていることも問題視した。
「今、生活費もどんどん高騰しているので、時給が上がらないと生活が苦しくなっていく。人手不足だけではなく、生活水準が上がってしまっている」（土岐氏、以下同）
なぜ時給を高く設定するのか。土岐氏は、以下のように推測している。
「AIにとって変わられてしまう仕事が増えているなかで、料理を運ぶ作業にしても“配膳ロボット”が出てきている。そうなると、ホスピタリティーや接客能力などにお金が払われる時代になる。そういう部分は残るだろうなと思う」
（『ABEMAヒルズ』より）
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