バルセロナのジョアン・ラポルタ会長が現地時間17日に会見を開き、“ネグレイラ事件”を真っ向から否定した。約2時間にわたって行われた会見の模様はバルセロナのクラブ公式チャンネル『バルサTV』にて公開されている。
通称“ネグレイラ事件”とは、バルセロナがスペインサッカー連盟(RFEF)審判技術委員会(CTA)のホセ・マリア・エンリケス・ネグレイラ元副会長と息子のハビエル・エンリケス・ロメロ氏が保有する会社『Dasnil 95』に対して金銭を支払っていたとされる疑惑のこと。2月15日にスペインのラジオ局『カデナ・セール』が一報を伝えると、世界に衝撃が走った。
その後、スペインの検察当局は審判買収の疑いで、法人としてのFCバルセロナ、同クラブの元会長ジョゼップ・マリア・バルトメウ氏とサンドロ・ロセイ氏、そしてネグレイラ氏らを正式に起訴。スペインのスポーツ法では3年間で時効が成立するものの、有罪が確定すれば何らかのスポーツ面での制裁も予想されていた。さらに、UEFA(欧州サッカー連盟)もこの件の調査に乗り出すなど、事態はさらなる混乱状態へ。チャンピオンズリーグ(CL)を筆頭にヨーロッパの大会への出場停止処分が科される可能性まで報じられていた。
一方で、バルセロナは審判のレフェリング分析を名目におよそ750万ユーロ(約11億円)ほどと見られる金銭の支払いを行っており、その後スペインメディア『マルカ』によって審判に関するレポートの実在が明らかになっている。スペインの出版社『EFE』によると、金銭の支払いがピッチ上の判定に影響を与えたことを疑われる証拠は存在していないとのことだった。
未だ事態の収拾がつかない中、ラポルタ会長が遂に動いた。本拠地『Spotifyカンプ・ノウ』の多目的ホール『オーディトリアム1899』にておよそ2時間の会見を実施。バルセロナ側の正当性を示す629件の紙の資料、43件の映像資料、そしてその他4件の報告書をもとに、バルセロナの“審判買収疑惑”を真っ向から否定した。
まず、ラポルタ会長は「この2カ月間、現実には存在していない中傷行為によって、“バルセロニスモ”が脅かされてきた。我々の歴史において、バルセロナというクラブは常にスポーツ界の模範として振る舞っている。選手たち、スタッフ、そしてクレ(バルセロナのファン・サポーター)、このクラブに関わるすべての人々の努力と才能のおかげで勝ってきた。勝った時は共に喜びを分かち合い、負けたのであれば言い訳をしない。我々は勝利を追い求めているが、それは審判に頼ることと同義ではない。良いプレーをすることで勝ちたいのだから」とクラブの考えを主張。その上で、“ネグレイラ事件”が報じられた当初からこれまでのクラブの動きに触れ、改めて“疑惑”を否定している。
「我々はこれまでにコンプライアンスの専門家と外部の会社に報告書の作成を依頼していた。今の私は事件が明るみに出た当初よりも遥かに多くの情報を入手している。その上で、バルセロナがスポーツ面での優位性を得るために、競技を汚す目的や意図を持った行為を行った事実はないと断言できる」
また、ラポルタ会長は会見内で5つのポイントにより構成された内部調査報告書を公開。スポーツ面での不正に関連する事実は存在しなかったことに加えて、前述の金銭はプロスポーツ分野で慣習的に行われているスポーツコンサルティング(報告書内ではスカウティング、レフェリーコンサルティングと記載)のサービスを受けた対価として支払われたものだと説明している。
さらに、ネグレイラ元副会長の息子であるハビエル氏が2014年から2018年にかけて作成した資料をもとに「税務局は、我々が試合結果に影響を及ぼすために金銭のやり取りをしていたことを証明できなかった。なぜそれが証明できなかったというと、事実ではないためだ。そんなことは不可能だ」と強調。「請求書にはコンサルティングに関するサービスであったことが詳細に記載されており、銀行振込の記録もクラブの会計に残っている。何かを隠蔽する意図は全くない」と語っただけでなく、前述の金額が18年間にわたって支払われたものであるにもかかわらず、支払った総額を報じられているために巨額に見えていると主張。2003年から始まった“第一次ラポルタ政権”で会長に就任した際に、以前から行われていたスポーツコンサルティングのサービスを継続することを決めた理由については「それまでにクラブが保持していた資料のすべてを見直し、それが非常に優れたレフェリングに関するアドバイスであることを確認した時、このレポートは質が高いものだと考えた。このような背景で依頼を続けることにした」と語っている。
加えて、スポーツ面での制裁についても言及。「UEFAからは、有罪判決が下された場合に限り制裁が伝えられると聴いている。だが、我々のクラブにスポーツ面での不正は全く存在していない。バルセロナは無罪になることを確信しており、制裁が科されることもないだろう」と述べた。