大胆不敵なヒールキャラを貫いてきた”人獣”が悲願の“初戴冠”直後のマイクで明かした「僕は生まれたとき障がい者でした」という衝撃の事実。歩けなかった幼年期を懸命に支えた母への感謝を込めた“蹴りにこだわり抜いた”勝利に「いい話で泣いてまうやろ」など感動と称賛の声が殺到した。
4月21日に後楽園ホールで開催された「RISE167」。RISEライト級タイトルマッチで王者・直樹(BRING IT ONパラエストラAKK)と中村寛(BK GYM)が対戦。試合は壮絶な打ち合いの末、5ラウンド判定の結果、2-0で中村が勝利。悲願のタイトルを戴冠したが、熱戦の興奮冷めやらぬ試合後のマイクで、新王者がまさかの告白。知られざる幼少期の苦労と母の優しさに対して「メチャメチャいいマイク」「泣ける」「お母ちゃんおめでとう」といった感動の声が相次いで寄せられた。
試合開始から、この試合に賭ける中村の思いが伝わる積極的な戦いぶりが目立った。いつもの前進するスタイルに加え、効果的にローキックを散りばめる中村。ラウンドごとにスコアが公表されるオープンスコアリングシステムでは、1ラウンドは中村の1-0、2ラウンドは直樹が1-0、残りの2ジャッジがドローといった拮抗した序盤の展開。しかし王者・直樹も意地を見せる。3ラウンドにコンパクトなパンチをまとめて3-0。この試合ではじめて試合をリードする。
試合が王者に傾きはじめた4ラウンド。やや失速気味に見えた中村だが、前蹴りからヒザを一気呵成に叩き込む。しかし、はやる気持ちが出てしまい掴みで注意を与えられる。再開後は至近距離での打ち合い。今度は直樹がローブローを当てるなど、両者意地がぶつかり合う荒っぽい展開が続く。このラウンドはジャッジ1人が10-9で中村、2者が10-10のドローとなった。。
最終5ラウンド、直樹がハイ、ミドルとキックを放つ中をくぐるように中村は前蹴りやローなど、蹴り中心の攻撃で応戦。直樹のアッパーに脳を揺らされながらも、常にフルスイングのパンチとヒザなど、本能に突き動かされるようにジワジワと前へ出るスタイルを貫く。意識朦朧の両者、頭を合わせて互いに譲らない至近距離の殴り合い。最後は直樹が後退したところで終了のゴングが響いた。
判定は1人が48-48のドロー、2人のジャッジが49-48で中村を支持。敗れた直樹は悔しさを滲ませながらも、勝者の中村へ歩み寄って健闘を称えると、観客に向け悔しさをかみ殺すように頭を下げた。
死闘を制した中村は勝利者マイクでラッシュトークを繰り広げてきた直樹に対し「本当にすごい尊敬している人で、認めています」と意外な第一声。さらにこの日応援に駆け付けた直樹のファンや応援団に向け「オレのファンやチームから大きな拍手をお願いします。元チャンピオンとは思っていません。チャンピオンを受け継いだので、チャンピオン有難うございました」と最大級の感謝の気持ちを表現すると深々と一礼した。
すると、中村の口から「この日、蹴りで崩したかった理由があります」と衝撃の告白が。
「僕、生まれたとき障がい者でした。足が外向いて生まれて“立つこともできない”と言われてて…母親が毎日逆の靴を履かせて、必死こいてリハビリやってくれて。僕はこうやって成長することができて、健常者と一緒になることができました。この場を借りて母ちゃん、産んでくれてありがとうございました」
そのように語ると、再び深々と頭を下げた。
”人獣”のニックネームとともに時には傍若無人なキャラクターを演じてきた中村の意外な一面に触れたABEMA視聴者からも「いい話で泣いてまうやろ」「カッコイイ男」「(中村の)母ちゃんおめでとう」「めちゃめちゃ良いマイク」「ヒール卒業だな」など祝福の声が絶えず送られた。