23日に投票が行われた衆参5つの補欠選挙は、自民党が4勝1敗となった。数字だけ見れば「自民強し」であるが、実際は辛勝も多かった。ここでは、「家系図」「弔い合戦」「襲撃事件」というキーワードで衆参5補選をJX通信社代表取締役の米重克洋氏とともに解説していく。
■「襲撃事件」
「保守王国」の和歌山1区で初の議席を獲得したのは、日本維新の会新人・林佑美氏(41)だ。自民党の元衆議院議員らを抑え、61720票を獲得した。岸田総理の襲撃事件は記憶に新しいが、日本のトップが熱心に通うも結果には結びつかなかったのだ。
これを受けて、米重氏は「大阪ではなく、和歌山の小選挙区で勝ったことは非常に大きかった」と話す。
「統一地方選全体を見渡してみると、東京・神奈川・千葉・埼玉など、いわゆる首都圏の区議会や市議会などでも、維新がかなりの割合で当選をしている。全国で見ても、維新は地方議員600人達成を目指していたが、実際に蓋を開けてみたら700人近く取ってると。かなり、首都圏も含めて、近畿以外でも伸びてきている。大きな躍進は全国的にこれから起きてくるのではないか」(以下、全て米重氏)
■「家系図」
山口2区では、自民党の新人岸信千世氏(31)が、平岡秀夫氏の猛烈な追い上げをかわし、61369票獲得で当選を果たしたが、岸氏が選挙前に自身のHPに安倍元総理の甥であることなどを示した“華麗なる家系図”を公開したところ「世襲アピールだ」などと批判を受けるなど騒動もあった。
「この山口は、岸信千世氏の父である岸信夫氏が連続で当選をしてきた場所。それに対して野党から立候補された無所属の平岡秀夫さんは、この選挙区で何度か勝ったことがある方だった。そういう方が野党一本化するような形で立ち上がったことによって、岸信千世氏はかなり苦戦した。世襲に対する有権者の難しい反応もあった」
■「弔い合戦」
安倍元総理の死去に伴う衆院山口4区の補欠選挙。この“弔い選挙”を51961票で制したのは安倍元総理の後継とされる自民党の吉田真次氏(38)。しかし、目標は8万票だったという。8万票の背景について、米重氏はこう説明する。
「安倍元総理が最後の選挙で獲得したのが8万票くらい。それに匹敵する票が取れたら次の選挙区割で4選挙区から3に減ったとしても、安倍元総理の後継者が生き残れる可能性が出てくるのではないかと。今回は勝敗の問題ではなくて、得票差が問題だったということだが、吉田氏は安倍元総理の後継とはいえ5万票ちょっとに留まっていて、立憲の有田芳生氏は2万5千票ということで、半分ぐらいまで迫ってる。他の地域だったら野党の大敗だが、この地域においては善戦しているということは間違いないかと」
自民党が4勝1敗となった補欠選挙。岸田総理が早期の衆議院の解散総選挙に踏み切るのではないかという見方もあったが、現時点で解散は考えていないと述べている。(『ABEMAヒルズ』より)
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