夢をエネルギーとして輝き続ける人がいるなか、「夢なんてない」という人もいる。『ABEMA Prime』が集計したアンケートでは、「夢は持つべき? 必要ない?」という質問に対し、“持つべき”と答えた割合が54%だった一方、“持たなくていい”と答えた割合も46%に達した。
夢は本当に必要なのだろうか? 番組では夢を持たないように生活しているという24歳の当事者を招いて議論。そこには夢を持たずとも理想を描く深い生き方が見えた。
24歳のリクムーンさんが“敢えて”夢を持たない理由
IT企業で働くリクムーンさん(24)は「夢や生きがいは持たなくていい。むしろ夢を諦めることが重要なのではないかと思っている」と話した。今は24歳にして夢を持たないように生活している。なぜか。
「夢や愛のようなものは、自分の感情を美しく表現しているだけ。理想や好みはひと言では表わせないと思うので、形として持つのではなく、今この瞬間を直感に従って生きるようにしている」と答えた。
大学生の時は、世界中の人をITで幸せにしたいという壮大な夢を持っていたというリクムーンさんだが、就職した会社の社長が「夢を持ちなさい」と従業員に発破をかけていることに嫌気がさし持たないようになったという。変わったことはあるのか。
「自尊心が傷つけられなくなった。夢の状態と今の自分…毎日、その差に傷つけられて生きていた。それがなくなった」
さらに「現実的な目標はいい。夢にするのは少し違うと思う」と述べ、「自分にとっての幸せは、社会が求めているものと自己実現できるもののバランスを取ること。その状態を維持するために、夢を持たない現状に満足はしていないけれど、自分磨きをしている状況だ」と自身の考えを語った。
“夢”はなくても“理想”はある
夢を追う人や夢が必要だという意見をどう感じているのか。
リクムーンさんは「夢を持っていない人も、理想の姿はある。それを人前で口に出すのは違うと思っている人はいると思う。チーム・組織を率いるうえでビジョンや経営理念は必要だと思うが、それを個人で持ってひと言で表わさなくてもいいのではないか」と答えた。
「僕は山頂を見て歩くのがしんどい。だから、一歩一歩を踏みしめて風を感じながら歩いていきたい。会社でも上を目指したいのではなく、会社にいることで社会的孤立が解消されて幸せを得ている。さらにその上を目指すのはどうかな」と自身の考えを述べた。
東洋経済新報社・会社四季報センター長の山田俊浩氏は「昨年のベストセラーで楠木建先生の『絶対悲観主義』という本がある。夢を持つと挫折するが、絶対うまくいかないと思っていると、少しうまくいったことが幸せになるので、10年経つと夢を持たない方が成し遂げたことが多いこともあり得る。少しずつうまくいったら『よかったな』と思っていられると、結果的に意外と遠いところまでいける。今のブームは夢を大きく語るより、確実にやっていくこと。声高に『俺はこれをやるんだ』ということが少しダサい時代になっているのだと思う」との見方を示した。
EXITの兼近大樹は「いろいろなことを諦めたおじさんたちに“夢は寝てみるもんだ”と言われた記憶がある。昔からそういう人はいたし、今の人たちはより現実的。がむしゃらはダサい、よりクールに相手を論破できることが格好いいんだよ、といった人が増えているイメージがある。夢はないけど理想がある人が多い。自分の手が届きそうな、現実的な理想みたいなものは結局、多分持っている。大人は“夢がないと、この先どうなの”と言うので、それが苦しいのだと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)
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