将棋の王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦が5月10日に行われ、藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が中川大輔八段(54)に87手で勝利し、王座初挑戦とタイトル全八冠に一歩近づくベスト8進出を決めた。敗れた中川八段だったが、終局後には「気持ちとしては(藤井竜王の)八冠阻止を頑張りたいという気持ちで対戦していた」とコメント。熱い闘志に、ファンからは「漢中川だ!」「かっこよすぎる!」と多くのコメントが寄せられた。
【映像】熱い思いを抱えて対局に臨んだことを語った中川八段(2分48秒~)
本局は、藤井竜王が唯一挑戦に至っていない王座戦の挑決トーナメント1回戦。王座戦は6期目の参戦で、初出場となった2018年(第66期)のベスト4が最高で、負ければ年内の八冠制覇は消滅する“関門”として立ちはだかっている。対する中川八段は、挑決トーナメントに12期ぶりに進出。互いに譲れない一戦は、藤井竜王の先手で角換わりの出だしとなった。
中川八段は、藤井竜王躍進の原動力にもなっている得意の角換わりに果敢に挑み、力強い駒組みで独創性をみせる展開となった。厚みを活かした攻めに対し、先手の藤井竜王は「6筋の位を取られてこちらが仕掛けていく形になったが、攻めも軽い形になってしまうので成算がないまま進めていた」と語ったが、冷静に対応して中盤戦で抜け出すことに成功した。
劣勢に立たされた中川八段は攻め合いを目指したが、自陣の弱点である側面を捉えられており、なかなか手を出すことができない。藤井竜王は機敏な攻めから一気に突き放し、“藤井曲線”を描いて快勝を飾った。終局後には「中盤で差をつけられないようにという気持ちで頑張ったが、見えないところで差を付けられてしまったような感じ。終盤に競らなかったのが残念」と一方的な展開に肩を落としていた。
対局を見守ったファンは、終局後の中川八段に注目。今期の挑決トーナメント最年長での参加の感想を問われると「年より扱いは面白くないが、気持ちは若いつもり。若い棋士がどんどん力を付けていて、同年代の棋士の活躍が薄くなってきている。本局は力及ばずだったが、気持ちとしては(藤井竜王の)八冠阻止を頑張りたいという気持ちで対戦していました」とコメントした。
“誰が藤井を止めるのか――”。全冠制覇へと止まらぬ勢いを見せる藤井竜王だが、ファンにとってはこのテーマが大きな見どころのひとつとなっている。本棋戦の頂点に立つ永瀬拓矢王座(30)、現在タイトル戦を戦う渡辺明名人(39)、菅井竜也八段(31)をはじめとしたトップ棋士たちが注目を集めるのはもちろんだが、ベテラン棋士も決して気持ちに衰えは見せていない。結果として敗れたものの、中川八段が「八冠阻止を」との熱い思いを抱えて本局に臨んでいたことを口にしたことで、ABEMAの視聴者からは「これぞ棋士!」「痺れましたー」「かっこよすぎる」「素敵だなー」「漢中川だ!」とコメントが殺到していた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)