「水道の水を止めたか、コンロの火を消したか、いつまでも気になる」
おかしいとわかっていても確認をやめられず日常生活に大きな支障をきたす「強迫性障害」。その患者は国内に100万人以上いるという。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、16年間強迫性障害で苦しんできた自身の体験を描いた漫画『極度の心配性で苦しむ私は、強迫性障害でした!! 』(燦燦舎刊)の著者であるエッセイ漫画家のつくしゆかさんを取材した。
二十歳で看護師になったつくしさん。感染予防のために手を洗っても汚れが落ちていない気がして、手が荒れるほど何度も手洗いをしてしまったという
さらに職業柄、こんなことも。
「注射針や医療用の器具は全部医療用廃棄物に捨てないといけないのに、普通のごみ箱に捨てたのではないかと、その針がごみ収集の人に刺さって大怪我するんじゃないかとか、どんどん考えが悪い方にいってしまった。一度、普通のごみ箱をひっくり返して、中に針が混ざってないかを確認したことも」
仕事にも悪影響が出るようになり始めたつくしさん。つくしさんの手荒れや何度も確認を繰り返す様子を見て、看護師長が精神科への受診を勧めたところ、「強迫性障害」ということが判明した。
しかし、病名もわかり治療を開始し、一件落着。とはならなかった。
「強迫性障害にもいろんな治療法があって、『曝露反応妨害法』という症状が出ても我慢する治療法だったり、『薬物療法』といって薬でコントロールするものとか試したけど、どれも自分に合わなかった。全部無理だと思って、勝手に服薬や通院をやめて、さらに症状はエスカレートしていった」
そして、仕事も辞めたつくしさんは身も心もボロボロに――。そんな時、「1人で悩まないで」と書かれたポスターを偶然見つけ、そこで出会ったカウンセラーに、「つくしさんは過去を軸に生きているから、未来が不安になるのでは?“いま”を軸に生きてみてはどうか」と言われたという。
「いま目の前にあることを一生懸命やっていったら、素敵な未来が待ってるんじゃないかと言われて納得した。それから自分が好きなことをやり始めて、少し症状が軽くなっていくような感覚があった」
そして30歳を過ぎた頃、本格的に病気を治そうと自発的に動き始めたつくしさん。徐々に症状は無くなっていき、人と接することを楽しめるようになった。さらに、これまで何度も確認作業を繰り返してきたつくしさんが、“忘れ物”をするようにもなったそう。
「何かが起きた時はその時考える」というように、“いま”を大切に生きることでつくしさんは前に進めたのだという。
日常生活に影響を及ぼす強迫性障害にはどんな症状があるのか、バイリンガル医師で総合診療医のレニック医師に聞いた。
「強迫性障害の症状には、考えが頭に浮かんで離れない強迫観念と、それを振り払おうと何度も同じ行動を繰り返してしまう強迫行為がある。特徴としては、この行動に対して本人はおかしいと気づいているが、やらないと落ち着かないということだ」
どのような治療法があるのか。
「一般的な治療法としては、認知行動療法と薬物療法がある。どちらかを選ぶかではなくて基本的に両方を組み合わせるのが効果的だ」
では、周りに強迫性障害かもしれない行為をしている人を見かけた場合、私たちにできることはあるか。
「すべてのメンタルヘルス疾患において理解が一番重要」
(『ABEMAヒルズ』より)
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