高校生新聞に掲載され話題になっている、ある高校生の発信。この中では、「苦しそうに食べる姿に違和感」「食材を無駄にしているみたい」「SDGsに逆行してない?」という3つの疑問点があげられている。
日本だけでなく世界でも盛んに行われ、最近は動画サイトでも人気となっているフードファイトだが、規制を加えたのが中国だ。2年前に大食い動画などを規制する反食品浪費法を可決。違反者には最高で約200万円の罰金を科すことになり、SNSや動画サイトからは大食い動画が一斉に消えた。
今の時代、大食いはオワコンなのか。11日の『ABEMA Prime』で、スポーツとしての大食いを日本に広めることを目標に活動している日本最強のフードファイターでYouTuberのMAX鈴木とともに考えた。
高校生の疑問について、MAX鈴木は「大食いは大きく分けて、フードファイトとエンタメの2パターンの人がいる。“苦しそうに食べる”のは、僕のような前者のスタイルに当てはまることだ。批判があるのはわかるが、“僕がやりたいことだから”という思いなので何も言えない」と説明。
そもそものきっかけとして、「大食いアイドルのもえのあずきちゃんが“こんなチャレンジメニューを食べた”とブログにあげているのを見て、行ってみようと。親の影響で大食い番組は好きだったのだが、初めて自分でチャレンジしたらたまたま成功できた。もともとオートレースの選手になりたかったが、身長・体重制限で落とされてしまい、“夢は叶わない”と思って20年近く生きてきた。大食いに出会って初めて、悲観的な自分から肯定的な自分になれて、“生きているのは楽しい”と本気で思えたので、これがなければ生きている意味がなくなってしまう」と語る。
そのトレーニングは壮絶なものだ。「大きな大会に出るとなったら3カ月前くらいから準備するが、仕事と私生活を含めてトレーニング以外のことが全部できなくなる。まずお米を食べて水を飲んで、10kgくらい入る胃袋を1カ月ぐらいかけて作る。買い物のビニール袋をゆっくり引っ張ると広がっていくような感覚だ。その後は、食べるのがホットドッグだったら、制限時間内にどれだけ食べられるかをひたすら試行錯誤する。本当に死ぬのではないかという経験を何回もしている」と明かす。
大食いの医学的リスクについて、内科医の市原由美江氏は「無理な大食いは命を削る行為」と指摘。「中性脂肪や悪玉コレステロールの増加で、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞、肝臓がんや高血糖になるリスク」「痛風のリスク」「食事制限をする患者への心理的悪影響」などをあげている。
一方で、EXITの兼近大樹は「そんなのはわかっているはずだ。例えば相撲は過度な食べ方をして、過度に鍛えて、頭と頭がぶつかって脳しんとうを起こす可能性があるし、殴り合う競技も拳やあごをケガする可能性を踏まえた上でやっている。大食いという文化がまだ認められていないために批判されやすい立場にいるのではないか」とコメント。
EXITのりんたろー。は「食事は一般生活に近いものだから文句を言いやすいというか、大食いはスポーツなのか?と。その距離感もあるのかなと思う」との考えを述べる。
MAX鈴木は「こういうテーマは一生付きまとうし、チャンピオンになってからは一番僕がしっかりしなきゃいけない立場だ。2カ月に1回の血液検査、半年に1回の人間ドック、何か異常があった時は大食いをまずストップするというのをずっと続けている。例えば、二郎系のラーメンをいっぱい食べていた時期に身体を壊したとして、『それを食べていたせいだ』と思われるのは僕が思うプロではない。お店の迷惑になったりすることは絶対に避けなければいけない立場にいるが、(業界全体として)その意識は行き届いていないように思う」との認識を示した。
さらに、大食い企画の問題の1つとして、グルメジャーナリストの東龍氏は「生産者、料理人をリスペクトしているか」という点をあげている。
これにMAX鈴木は「飲食店さんに限っては、店側が嫌がるようなことは絶対にしない。例えば“5kgのカレーを30分で食べてください”というチャレンジメニューがあった時に、フードファイトだから15分で食べたいと思ったとする。そこで『特別に15分でやってもいいか?』と聞いてみて、ちょっとでも雲行きが怪しければやらずに、『どんどんやってください』という所でのみやるようにしている」と答えた。
では、海外でフードロスや健康被害に対する批判はあるのか。「全然ない。少なくとも僕がアメリカの大会に行っている時は称賛しかない」とする一方で、改善点もあると話す。
「競技だとしても、こぼした米粒は拾うというのが日本。しかし、アメリカでは、こぼしたものを拾っている暇があったら他のを食べて後で計量すればいいだろう、という文化だ。それは少しずつでもいいから変えたいとずっと思っている」
高校生の「食材を無駄にしているみたい」という疑問も、フードロス対策を考えた大会にするなど、打ち出し方を変えることで見え方は変わってくるのではないか。
「コロナ禍になって飲食店さんが回らなくなり、滞留する食材がものすごく増えた。廃棄するしかないそれらの食材を安く買い取って大会をやろう、という取り組みを少しずつ始めているが、やはり評価はいい」
(『ABEMA Prime』より)
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