将棋の第81期名人戦七番勝負第3局が5月13・14日の両日、大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で指され、渡辺明名人(39)が藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)に87手で勝利した。この結果、渡辺名人は待望のシリーズ初白星を飾り、4連覇に向けて反撃を開始した。本七番勝負は、渡辺名人に若き六冠保持者の藤井竜王が挑戦するビッグマッチ。次戦で渡辺名人が連勝を飾って追いつくか、藤井竜王がタイトル奪取に王手をかけるか。注目の第4局は5月21・22日に福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で指される。
渡辺名人が、4連覇に向けて反撃ののろしを上げた。大きな注目の下で始まった本局は、渡辺名人の先手で矢倉対雁木の戦いに。力戦とあり、序盤から両者とも慎重に駒組みを進め、重々しい時間が流れる長考合戦の進行となった。渡辺名人が前日に封じた一手の開封から再開された2日目は、一気に激戦に突入。両者の玉頭で戦いが始まった。
藤井竜王は先手陣の金の頭をたたいたところから、形勢を徐々に引き寄せていく。ぐんぐんと手を伸ばす一方、劣勢に追い込まれていた渡辺名人が受けに回って反撃の糸口を探した。藤井竜王は攻守の要となっていた角を切って勝負。攻めが炸裂させるかと思われたが、静かにチャンスの到来を待っていた渡辺名人が逆転。最後まで緊迫感漂うぎりぎりの激戦が繰り広げられたが、最後は大長考を経て角打ちから押し切って勝利。4月上旬の開幕から3局目にして待望の初白星を手にした。
勝利した渡辺名人は、「ここまで結果が出ていなかったので、とりあえず良かった」とホッとした表情。しかし、防衛にはまだまだ厳しい道のりが待ち受ける。磁極に向けて、「間を置かずにすぐに(次局が)あるので、また勢いをつけて頑張りたいなと思います」とコメントしていた。
一方、藤井竜王は角切りからの展開に触れ、「本譜はやったら負けになってしまったので、どういう手の組み合わせで行くか、どれが良かったかわからなかったが、そのあたりで違う手を選ばなければならなかったと思う。中終盤での読みが足りなかったと感じたので、そこを次局以降修正できれば」と話した。
将棋界内外からも大注目を集めている本七番勝負の次戦、第4局は5月21・22日に福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で開催される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)