大手メーカー「アサヒ飲料」が9日、CO2(=二酸化炭素)を吸収する自動販売機を発表した。既存の自動販売機の内部にCO2を吸収する特殊材を搭載し、 稼働コストや自動販売機の本体価格は変わらないという。
使用されるのはカルシウム類でできた特殊な粉で、CO2を吸収した後は肥料や建材に加工され、1台当たり年間でスギの木20本分相当のCO2を吸収できるとしている。
また、CO2を吸収しても自動販売機の稼働に影響はなく、木と同じような役割を果たすため、「都会の中に森をつくる」をコンセプトに展開予定だ。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、二酸化炭素を集める機械の開発をしている化学者・発明家の村木風海氏にこの画期的な自販機について聞いた。
まず率直にこの自販機に対する感想は。
「僕たちが開発したCO2を集める装置『ひやっしー』に兄弟ができてとてもうれしい。海外の二酸化炭素を吸収する装置は、全長100~200mの大きな工場サイズが主流だったので、一般住宅やオフィスに設置して集めるアイデアは科学者の間で無視されがちだった。そんな中、日本でも同じ領域の研究が進んで自動販売機という形で普及するのはとても嬉しい」
どうやってCO2を吸収するのか。
「CO2の集め方は主に、物理吸着、化学吸着、膜分離法の3つがある。1つ目の物理吸着っていうのは、化学的に金属で作った網目のようなものでCO2だけを濾し取り、酸素や窒素は通過させる方法。2つ目の化学吸着は化学反応で二酸化炭素を液体の中に溶かすほか、今回のように粉にくっつける方法。3つ目の膜分離法はシャボン玉のように薄い膜でCO2だけが通過できる膜を作り集める方法。おそらく今回の『CO2を食べる自動販売機』は、2つ目の化学吸着法を使っている」
化学吸着法のメリットは。
「1番いいのはとても安く、大量生産に向いているところ。CO2を吸収する化学反応は昔からよく知られた反応で、原材料がとても安く、性能も十分。全国に『CO2を食べる自動販売機』を普及させるには1番適している方法だと思う」
この吸収剤は無限に使えるのか。
「もちろん有限なので、ある程度CO2を吸収したらそれ以上は吸わなくなるので、交換する必要がある」
アサヒ飲料は6月から関東・関西で実証実験を開始し、2024年から本格展開を予定している。(『ABEMAヒルズ』より)
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