19日から先進7カ国の首脳が集まり、G7首脳サミットが開催される。今回のサミット開催の意義や注目点について、テレビ朝日政治部 原 慎太郎デスクはこう語る。
「サミットは英語で『頂上』という意味で、G7とはGroup of Sevenの略称です。つまり、フランス・アメリカ・イギリス・ドイツ・日本・イタリア・カナダの7カ国のトップが集まる会議です。国を超えた協力が必要な世界経済・外交・安全保障・環境保護などについて議論を行い、成果を文書にまとめることが慣例となっています。毎年7カ国が持ち回りで開催しており、前回はドイツ、前々回はイギリスで行われており、日本では2016年の伊勢志摩サミット以来となります」
いくつかの候補地があったなか、岸田総理の地元でもある広島で開催されるのにはどんな理由が。
「当時開催地の候補として名古屋・福岡・広島が名乗りを上げていました。自分の地元というのはもちろんですが、ロシアがウクライナに侵攻して核による威嚇を行うなかで岸田総理は『広島ほどG7として平和への関与を示すのにふさわしい場所はない』と語り、世界に向かって平和を発信するメッセージ性のある、被爆地・広島が選ばれました」
警備面でのポイントは。
「近年は警備のしやすさを重要視しており、リゾート地や地方都市で開催される傾向にあるなかで広島のような大都市での開催は異例といえます。今回はグランドプリンスホテル広島での開催が決定しましたが、アメリカの大統領の警備警護は非常に厳重であることから、最大のハードルはアメリカのOKが出るかでした。関係者によると、会場の警備や狙撃されるポイントがないか、いくつかの基準をクリアしたということです」
今回5月中旬に開催されるが、この時期である意味はあるのか。
「サミットは必ずしも5月に行うわけではなく、年や開催地によってバラバラです。開催地の伝統文化や食を知ってもらう側面もあることから、梅雨を避け、過ごしやすい季節を選んだという背景があります。この3日間で『セッション』という形でテーマごとに会議が開かれ、期間中には晩さん会もあります」
今回のサミットではどのようなテーマが予定されているのか。
「世界経済」、「ウクライナ情勢」に加え、「食料」、「開発支援」、「ジェンダー」、「気候変動」などのテーマが想定されています。そのなかでも特にポイントとなるのが、①核兵器なき世界②ウクライナ情勢③中国めぐる国際情勢④グローバルサウスの4つです。
①に関しては岸田総理も特に強い思いがあり、自身のライフワークでもある広島で核軍縮・不拡散に絞った特別文書を出す方向で調整しています。③に関してはアジアでの開催というところで、覇権主義的な動きを強めている中国に対し、「力による現状変更」や「経済的威圧」を行わないようにG7として求めていく方針です。④に関してはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、主にアフリカや中東などの南半球の新興国・途上国への関与を強化する動きを目指しています。特にロシアへの制裁でこれらの国々と連携を強化してG7側に引き込む狙いがあります」
今回議長国としてどのような成果をあげれば成功といえるのか。
「成果文書に何をどこまで盛り込めるのかがポイントです。例えば『核兵器なき世界』で言えば、NPT(核拡散防止条約)の再検討会議で『核兵器不使用の継続』などが明記された新しい行動計画『ヒロシマ・アクション・プラン』を示しています。このプランを首脳宣言に格上げしたい考えがあるものの、核兵器を保有しているアメリカ・イギリス・フランスを含む各国から賛同を得られるのかが不透明です。
ウクライナ情勢に関しては、一部の医療品を除いたロシアに対してほぼ全面的な輸出禁止措置を検討しており、どれだけ一致点を見いだせるのか注目されています。さまざまな焦点があるなか、いかにG7で結束ができるのか、どのような成果文書が作られるのか、注目が集まっています」