プレミアリーグ第36節アーセナルvsブライトンの大一番、ABEMAで解説を務めた東大監督・林陵平氏は後半アディショナルタイム、ブライトンがチャンスを迎え、三笘がシュートを放ったシーンでフィニッシュの精度について言及している。「三笘にはフィニッシュの改善を求めたいですね。フィニッシュの精度が上がってくるとより怖い存在になる」と述べた。
【映像】東大監督・林陵平が三笘薫のプレーを解説
データでみる三笘薫のゴール
三笘は、日本時間4月1日に行われたブレントフォード戦より得点がなく、公式戦では直近の9試合でゴールから遠ざかっている。
今季プレミアリーグでは7ゴールを決めており、そのうち2ゴールがヘディングでのゴールである。また足で決めた5ゴールは全て右足だ。左足の精度は足りておらず、マンチェスター・ユナイテッドのワン=ビサカのように、あえてそのコースを空けさせてシュートを打たせるように誘導する選手もいる。
その他にも興味深いデータがある。7ゴール中5ゴールを2タッチ以内で決めており、4ゴールがワンタッチゴールであるというものだ。
xG(ゴール期待値)は5.93のため7ゴールは好成績と言うこともできる。だが、ビッグチャンスのミスは8回。まだまだ得点数を増やすことが可能だろう。(Sofascoreから引用)
このデータを見ると自らドリブルで切り込んだり、独走状態でのシュートが苦手であると考えられる。それは左足でのゴールがないことに起因しているかもしれない。三笘がシュートを打つとき、利き足の右足方向に相手をずらして打つことが多い。そのため、キーパーはコースを予測しやすい上、DFもシュートコースを切りやすい。
その結果、難易度の高いシュートコースしか空いておらず、ゴールするのが難しい状況に陥っているのだ。
鍵は「左足」と「歩幅」
フットボールにおいて、シュートはGKとDFがいないコースかつ7.32m×2.44mのゴールの枠内に打てば入るのだ。しかし、GKの体が届きやすいところ(GKの肩から膝位の高さ、この高さに打てばプロのGKならほぼ触られる)は例外だ。これを読み解くと、狙うと良いとされるゴールの4隅が導き出される。
ゴールの4隅のうち、コースが空いているところをいち早く見つけ、空いているタイミングでシュートを正確に打てばほとんどのシュートはゴールになるというわけだ。しかし、シュートを打つタイミングで歩幅が変わればシュートは読まれてしまう。そのため、シュートの直前で歩幅を変えないことも重要になる。
そのコースを作りやすいのがいわゆるビエルサ・ゾーンだろう。(ゴールポストからペナルティエリアの隅を結んでできた台形の内側のエリア)そのエリア内でも特にゴールエリアの幅まで侵入できると得点確率は上がる。
これらのことを踏まえて考えると、現在の三笘薫に求められるものは空いたコースを瞬時に判断することだろう。その判断の精度を上げるため、左足で正確なシュートを打てるようになること、歩幅によってGKとDFに読まれることを少なくすることも重要になってくる。
ただ三笘はまだプレミアリーグ1年目だ。デ・ゼルビ監督のもとさらなる研鑽を積み、真のトッププレイヤーに成長する伸び代は十分あるだろう。
(ABEMA/プレミアリーグ)(c)aflo