バレンシアがレアルに競り勝ち残留に前進も…ヴィニシウスへの人種差別などで試合中断&大荒れの展開に

 ラ・リーガの第36節が21日に行われ、バレンシアとレアル・マドリードが前日に建設100周年を迎えたメスタージャで対戦した。

 降格圏まで勝ち点2差の16位バレンシアにとっては後のない状況。対するレアル・マドリードもチャンピオンズリーグで決勝進出を逃したショックを払拭したい一戦となった。

 ミッドウィークに行われたCLのメンバーから7選手を入れ替えて試合に臨んだレアル・マドリードに対し、バレンシアも高い強度で応戦。すると33分にバレンシアがワンチャンスを生かす。ボックス左でボールを持ったジャスティン・クライファートが反転から左足でシュートを放つと、ファーサイドに流れたボールに反応したディエゴ・ロペスが押し込み、先手を奪った。

 前半のシュート数がわずか3本にとどまったレアル・マドリードは、後半も苦しい展開が続く。後半途中からロドリゴやルカ・モドリッチ、トニ・クロースらを投入して圧力を強めていくが、ロドリゴのシュートが枠を捉えきれない。すると69分、ボックス内に侵入しようとしたヴィニシウス・ジュニオールの足元に、ピッチ内に放り込まれていたもう一つのボールをエライ・キュマルトが蹴り込み、試合が中断する。

 キュマルトにはイエローカードが提示され、FKで試合再開かと思われたが、今度はゴール裏から人種差別的な発言にヴィニシウスが激昂。その発言者を特定するべくヴィニシウスが詰め寄り、ここから約10分間にわたって試合が中断する前代未聞の展開となった。その後、試合は再開され、レアル・マドリードの猛攻が続いたが、後半アディショナルタイムに遅延行為をおこなったユヌス・ムサを巡って諍いが発生。詰め寄ったヴィニシウスがウーゴ・ドゥロに羽交締めされ、その手を振り払った際に手が顔に当たると、これが暴力行為と見なされてヴィニシウスに退場処分が下される事態となった。

 結局、GKギオルギ・ママルダシュヴィリが好守を連発し、試合は1-0のまま終了。バレンシアが残留に近づく大きな勝ち点3を獲得した一方で、レアル・マドリードは同日に勝ち点3を加えたアトレティコ・マドリードと入れ替わる形で3位に後退。試合も遺恨を残す大荒れの一戦となった。

【スコア】
バレンシア 1-0 レアル・マドリード

【得点者】
1-0 33分 ディエゴ・ロペス(バレンシア)