藤井聡太竜王「経験のない形、判断に悩むことが多かった一局」も衝撃69手の短手数で快勝 最年少名人&七冠へ“王手”/将棋・名人戦七番勝負第4局
【映像】名人戦第4局と「おやつ」を振り返る藤井聡太竜王

 将棋藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が5月21・22日の両日、福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で行われた第81期名人戦七番勝負第4局で渡辺明名人(39)に勝利した。終局は夕食休憩前の午後4時45分、わずか69手のスピード決着。衝撃的な短手数で名人から3勝目を挙げ、最年少名人と七冠獲得にあと1勝と迫った。

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 名人VS竜王が激突するビッグマッチとなった今期のシリーズ。名人の1勝、竜王の2勝で迎えた第4局は、後手の渡辺名人が角道を止めて開幕局から4局連続で雁木模様の出だしとなった。藤井竜王は「考えていた展開のひとつだった。序盤から手の組み合わせの多い将棋なので、具体的にどういう形になるかはわかっていなかった」と、早々に銀を繰り出して速攻の構えに。定跡のない力勝負とあり、1日目から緊迫感漂う展開となった。

 藤井竜王の封じ手開封から始まった2日目は、渡辺名人の“攻め”、藤井竜王の“受け”の構成から互いに長考合戦に突入。少しでもバランスを崩した方が負けという、難解かつ繊細な戦いとなった。しかし、渡辺名人は中盤戦で迎えた昼食休憩時点で「手が出なくなってしまった」。対する藤井竜王は、「後手の飛車を抑え込めるかどうかで、それがうまく行けば少し指しやすくなる可能性もある」と抜け出すことに成功。勝負所を迎えた渡辺名人だったが、「どんどん悪い手を選んでしまった」と振り返り、藤井竜王がペースを掌握して終盤戦へと突入した。

 藤井竜王は、渡辺名人の反撃のひとつずつ芽を摘み取るような着実な手でリードを拡大。午後5時から30分間設けられている夕食休憩が近づいている中、ABEMAの中継に出演した郷田真隆九段(52)は「プロの指し手として(勝負の)あやを求める手が見当たらない。こうなってしまうと、早い投了となるかもしれない」とコメントすると、その言葉を受けるように渡辺名人からふっと力が抜け、午後4時45分に69手で投了を告げた。

 藤井竜王は、「本局は中盤以降、類型も含めて全く経験のない形になって判断に悩むことが多かった一局だった。途中は自信のないところもあったが、最終的に後手の攻めを受け止める形にできたのかなと思っています」とコメント。本局でもABEMAの「SHOGI AI」は美しい“藤井曲線”を描き、若き絶対王者の快勝だったことを知らせていた。

 5月31日・6月1日の両日、に長野県高山村の「緑霞山宿 藤井荘」で行われる第5局で藤井竜王が勝てば、20歳10カ月の史上最年少名人となり、谷川浩司十七世名人(61)の21歳2カ月を40年ぶりに更新。さらに、羽生善治九段(52)以来2人目の「七冠」獲得とダブル偉業の達成となる。ここでも「スコアのことは意識していない」と語った藤井竜王だったが、「第5局の前に叡王戦の第4局と対局が続くので、良い状態を維持してやっていけたらなと思っています」と優しい表情で目の前の一局を見据えていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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【映像】渡辺名人VS藤井竜王 名人戦第4局ハイライト
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