ヴィニシウスの一件が火種に…かつて人種差別を巡り対立したバレンシアDFとカディスDFが口論

 21日に行われた『ラ・リーガ第35節 バレンシアvsレアル・マドリード』の一戦で、レアル・マドリードに所属するFWヴィニシウス・ジュニオールに対する人種差別的なジェスチャーが確認された。そして、この一件が火種となり、2シーズン前に人種差別を巡って対立したバレンシアに所属するDFムクタル・ディアカビと、カディスに所属するDFフアン・カラが公式Twitter上で口論を繰り広げた。

 事の発端となったのは、21日に行われた『ラ・リーガ第35節 バレンシアvsレアル・マドリード』の一戦。試合前から一部のバレンシアサポーターによるヴィニシウスへの人種差別的なジェスチャーが横行しており、とりわけ、70分過ぎには試合が約10分程度止まる事態に。この騒動を巡っては、ブラジルのルラ大統領らも言及するなど、スペインサッカー界を飛び越えた問題へと発展している。

 またこの件が火種となり、DFムクタル・ディアカビとDFフアン・カラが自身の公式Twitter上で衝突。2シーズン前の『ラ・リーガ第29節 カディスvsバレンシア』の一戦では、ディアカビがフアン・カラから人種差別的発言を受けたとして告発するも、ラ・リーガの調査の結果、証拠不十分でお咎めはなかった。

 そんな経緯を持つフアン・カラは、ヴィニシウスへの人種差別について「今日、(同試合は欠場したが、バレンシアの中心である)ガブリエル・パウリスタとその仲間たちは、痛みを抱えたままピッチを去ることはなかっただろう? 今日、プレスリリースやビデオもなく、模範的なファンでさえもそのような行為を非難することもない、違うか? 時間が経てば、すべての道化師は自分の居場所を見つけるだろう」と自論を展開。これに対して、ディアカビは「あなたがしゃべり続けられているのは、彼らにとてもよく守られているからだ。しばらく黙ってろ」と反論している。

 それでも、フアン・カラは「いや、僕は黙らないよ。だって、君と同じように僕にも権利がある。同じね。それ以上でも以下でもない。昨日、あなたのスタジアムで人種差別が起きたけど、あなたも、あなたの同僚も、ピッチ上でヴィニシウスを支持するような姿勢を見せなかった、と言ってるんだ。仮に、僕のチームメイトであるモモ(・ムバイェ)やチョコ(・ロサーノ)やテオ(・ボンゴンダ)やアワー(・メイビル)がスタンドの男から侮辱を受けたとしたら、そいつをスタジアムから追い出すのは警察ではなく僕自身だから安心してほしいね」と綴った。

 一方で、ディアカビは「僕は、一部のファンから人種差別的な侮辱を受けたヴィニシウスを支持する。そして、僕のクラブがこれらの行為に及んだ人に厳格な制裁を下すために、必要なアクションを起こすことを望む…。何も言わないことは、共犯者であることを意味する」とヴィニシウスを支持することを表明している。

 なおバレンシアは22日、ヴィニシウスへの差別行為に及んだサポーターに生涯に渡って入場禁止処分を科すことを発表している。