ナポリの新監督候補たち

 ナポリを率いるルチアーノ・スパレッティ監督が今季限りで指揮官の座から降りることが噂されていることを受け、イタリアメディア『ジャンルカ・ディ・マルツィオ』が後任として予想される6名の人物を報じた。

 スパレッティ監督に関しては、かねてより複数の現地メディアによって今季限りでクラブを去る可能性が報じられている。同監督は就任2年目にしてクラブを33シーズンぶりのセリエA優勝、元アルゼンチン代表の故ディエゴ・マラドーナ氏が在籍していた時以来となる“スクデット”へと導いており、チャンピオンズリーグ(CL)でもクラブ史上初となるベスト8進出を果たしていた。“黄金期”と称しても差し支えないほどのシーズンを過ごしているが、スパレッティ監督とアウレリオ・デ・ラウレンティス会長との確執が顕在化しているという。21日に行われたセリエA第36節のインテル戦終了後には「既に決定は下されている」と話すなど、今季限りでの退任が非現実的ではないことを示唆していた。

 このような状況の中、同メディアはスパレッティ監督の後任としてクラブが考慮している6名の人物を紹介した。まず、同メディアは後任の最終的な決定権を持つ人物がデ・ラウレンティス会長であることを強調。その上で、現在ナポリが採用している「4-3-3」のシステムを継続したいのであれば、候補は2名に絞られるという。

 その2名とは、現在フィオレンティーナを率いるヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督と、ボローニャで指揮を執るチアゴ・モッタ監督のことだ。前者はイタリアでの指導経験が豊富で、攻撃的な「4-3-3」や「4-2-3-1」を採用することが多い。現在フィオレンティーナはセリエAで11位に甘んじているが、ヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)では決勝進出を果たすなど、現在イタリア国内を中心に評価が急上昇している。後者は選手時代の古巣であるPSGのU-19チームで監督キャリアをスタートさせ、ジェノアでは初めてトップチームを率いた。その後はイタリアーノ監督がフィオレンティーナへと引き抜かれたスペツィアで監督を任され、現在はボローニャを率いてセリエAで9位につけている。

 一方、現行路線からの脱却を視野に入れる場合、アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が筆頭候補になるという。ガスペリーニ監督は2016-17シーズンよりアタランタを率いており、3バックを基本路線としたマンツーマンシステムでセリエAを席巻。2019-20シーズンにはクラブ史上初参戦だったCLでベスト8へと導いており、常にセリエAで上位争いを繰り広げてきた。デ・ラウレンティス会長は2013年夏に当時のワルテル・マッツァーリ監督がクラブを離れた際にもガスペリーニ監督の招へいを画策しており、非常にお気に入りの指揮官であることが伝えられている。

 また、モンツァをクラブ史上初のセリエA昇格へと導き、現在はセリエAで8位と大健闘のシーズンを過ごしているラッファエレ・パッラディーノ監督も候補として名前が挙がっているようだ。さらに、2013-14シーズンからの2シーズンに渡ってナポリを率いたラファエル・ベニテス監督もデ・ラウレンティス会長からの信頼が厚く、可能性の高い候補と見られている。

 加えて、同メディアは「よりエキゾチックなアイデア」としてマルセロ・ガジャルド氏の存在にも言及した。ガジャルド氏は現役を引退したクラブであるウルグアイのナシオナルで監督キャリアをスタートさせると、2014年夏からは古巣リーベル・プレートの監督に就任。2022シーズン終了時までのおよそ8年半に渡って指揮を執り、選手として生まれ育ったクラブに国内リーグのタイトルをもたらしただけでなく、2度のコパ・リベルタドーレス優勝にも導いていた。リーベルの指揮官退任後は欧州挑戦に意欲を示しており、ナポリ側からのアクションがあれば首を縦に振る可能性も低くはなさそうだ。

 仮にスパレッティ監督の退任が正式決定した場合、後任は上記の6名の中から誕生することとなるのだろうか。今後の動きに注目だ。