村上ファンドの元幹部が断言「日本株はまだまだ安い」なぜ、物言う株主は“業界知識がなくても”株価を爆上げできるのか?
【映像】30年間でアメリカ株は10倍に(日米独の推移グラフ)
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 33年ぶりとも言われる株高で市場が沸く中、セブン&アイ・ホールディングスが揺れている。株主であるアメリカの投資ファンド、いわゆる“物言う株主”が会社側にグループを再編してコンビニ事業に注力するよう求め、事実上、現社長らの退任を迫る事態となったのだ。

【映像】30年間でアメリカ株は10倍に(日米独の推移グラフ)

 Twitterでは「株主だからといって、会社に口出しすぎるのはどうなの?」「業績は株主の利益に直結するし、従うべき」などの声があがっている。

 ニュース番組『ABEMA Prime』では、かつて物言う株主として世間を賑わせた「村上ファンド」の創業メンバーであり、現在は「ストラテジックキャピタル」代表である丸木強氏と「会社に口出しできる権利=議決権を持つ」物言う株主とは何者なのか、そしてそんな株主を一喜一憂させている「33年ぶりとも言われる株高は本物なのか?」について議論した。

村上ファンドの元幹部が断言「日本株はまだまだ安い」なぜ、物言う株主は“業界知識がなくても”株価を爆上げできるのか?
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▪️33年ぶりの株高は本物?

 33年ぶりの高値水準について丸木氏は「グローバルで見ると全然大したことない。アメリカはこの30年間で株価が10倍になっている。だから33年ぶりの高値だとか、バブルの再来だと騒ぐメディアも間違っている。やっと以前の水準に近づいただけだ」との見方を示した。

 さらに、今後の株価の推移については「僕は相場の専門家ではないが、日本企業にはまだ課題が多く、それゆえに伸び代も大きい。とはいえ、ここから株価がどんどん上がるかはまた別の話だ」と述べた。

 自民党副幹事長の小林史明衆議院議員は「日本の伸び代はものすごい。海外では、社員の流動性も高く、プロの経営者も外から入ってくることで、外の目線が入った経営ができているが日本は遅れている。日本の経営者も丸木さんのような物言う株主からの提案を受けて考えるきっかけにするだけで大きな意味があるだろう」と述べた。

▪️今こそ物言う株主の出番?

 物言う株主としては草分けであり、風当たりも強かった村上ファンド。当時を振り返って丸木氏は「本当のことを正面から言い過ぎたこともあって、ハレーションが強かった」とした上で、株式会社の前提について「そもそも、大学の会社法の教科書を見れば『株式会社の目的は株主の利益の最大化』と書いてある。しかし日本では会計士でさえもわかっておらず、企業の経営者にも『どうして株主の言うことを聞かなくてはいけないのか』と反応されることがある」と世界でも稀有な状況にあると話す。

 投資と提案を通して、会社の株価に大きな影響をもたらす物言う株主だが、投資をする業界の知識は持ち合わせているのか? 丸木氏は「実は、我々は業界の知識はあまりない。それは自覚している。しかし、『取締役候補の選び方が明らかにおかしい』だとか『いくらなんでもキャッシュを貯めすぎではないか』という、コーポレートガバナンスや財務戦略を改善するだけで営業利益が横ばいであっても株価が大きく上がる会社は日本にたくさんある。僕たちはそういうところを選んで投資をしている」と述べた。

 持ち株は5%~10%ぐらいしかないケースも多いというが、どうやって経営に提案を受け入れさせるのか? という問いに丸木氏は「改善案をパワーポイントなどで繰り返し説明する。また、直接説明する以外にも日経新聞の一面を買って、他の投資家・株主に『この会社はこんな問題があるので、僕らはこんな提案をしている。みなさんはどう思いますか?』と呼びかけ、経営者の考えるきっかけにしたこともある。すごく時間がかかるが一度変わればポーンと変わる」と説明した。

▪️お金さえ儲ければいいのか?

 お金を儲けることだけが目的と見られがちでは? との声に対して、丸木氏は「よくがめついやつだとか強欲だと言われるわけだが、ビジネスなのでしょうがない。ただし、どうやったらみなさんに理解していただけるかということを考えている。うちはこの10年間で16社ぐらいに投資をして、1社以外は全部売った後も株価が上がっている。つまり、『我々が経営を変えた』ということだ。『お前らは金だけ儲けて後は知らん顔だろ』との批判があるが、少なくとも我々には当てはまらない」

(『ABEMA Prime』より)

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