第81期 名人戦七番勝負 番組サムネイル
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 将棋界最高峰のタイトルとして名高い名人戦。2023年の第81期名人戦では、3連覇中のディフェンディングチャンピオン・渡辺明(わたなべ あきら)名人と、弱冠20歳の挑戦者・藤井聡太(ふじい そうた)竜王の熾烈な戦いが繰り広げられました。そして第5局の勝利で藤井竜王が名人位を奪取、史上最年少の名人が誕生することとなりました。

【ハイライト】名人戦七番勝負 第五局(5/31,6/1)
【ハイライト】名人戦七番勝負 第五局(5/31,6/1)

 しかし、ファンの中にはこの名人戦独自のルールや、どんな歴史を持つのかといった点についてはあまり知らない方も多いのではないでしょうか? そこでこの記事では、名人戦の概要について知っておきたいポイントを分かりやすくまとめていきます。

目次

  • 名人戦とは?歴史を解説
  • 名人戦のルールは?
  • まとめ

名人戦とは?歴史を解説

第81期 名人戦七番勝負 第四局 1日目 渡辺明名人 対 藤井聡太竜王
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 古代インドを発祥とし、早ければ6世紀、遅くとも11世紀には日本に伝来したという将棋。15~16世紀には現在の本将棋が確立し、江戸時代には庶民の間でも広く楽しまれるようになりました。この江戸時代の初期、1612年に徳川家康(とくがわ いえやす)が将棋指しの大橋宗桂(おおはし そうけい)に俸禄を支給したことから将棋「名人」の称号が誕生し、やがて大橋本家・大橋分家・伊藤家の中で最強の棋士が名人を名乗るようになりました。

 この頃の名人位は終身制で、一度名人になったら死ぬまで名人だったのですが、そのしきたりが改められたのが昭和初期。十三世名人・関根金次郎(せきね きんじろう)が生前に自ら名人位を返上することを宣言し、八段の棋士を集めたリーグ戦で実力制の名人位を決定したのです。

 これが1935年から1937年に渡って行われた第1期名人戦。以後、名人戦は今日まで連綿と続いていますが、将棋のタイトル戦の中でも一番長い歴史を持つことから別格の扱いを受けています。名人位は竜王位とともに将棋界の頂点とされていて、名人戦は将棋界で最も格式の高いタイトル戦となっているのです。

名人戦・順位戦まとめ
名人戦・順位戦まとめ

名人戦のルールは?

 タイトル保持者である名人への挑戦者は順位戦と呼ばれる予選で決まり、A級順位戦の優勝者が挑戦者となります。なお、順位戦リーグは5クラス制(A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組)で毎年6月から翌年3月にかけて行われますが、3月上旬のA級最終日に名人への挑戦者と降級者2名が決まることが多く、この日は「将棋界の一番長い日」と呼ばれてファンやマスコミから重要視されています。

 こうして挑戦者が決まると、名人戦――名人と挑戦者による七番勝負が行われ、先に4勝した棋士が新たな名人となります。各局は持ち時間9時間の2日制ですが、9時間は現在の将棋界で最長の持ち時間として有名。また、1日目の終わりには封じ手(規定時間になったら次の一手を指さず紙に記入して封筒に入れる)が行われますが、これは2日目の開始までに対局者が次の手を考えて有利になることがないように配慮したものとなっています。

 対局会場は全国各地の旅館や料亭、文化施設など格調高い場所となり、東京都文京区のホテル椿山荘東京が第1局、山梨県甲府市の常磐ホテルが第6局、山形県天童市の天童ホテルが第7局に使われることが多い恒例の会場となっています。

 ちなみに、第2局から第5局は全国の自治体からの公募により開催地が決定されるようです。2023年の第81期名人戦は、第2局が静岡県静岡市の浮月楼、第3局が大阪府高槻市の高槻城公園芸術文化劇場、第4局が福岡県飯塚市の麻生大浦荘、第5局が長野県高山村の緑霞山宿 藤井荘となっています。

名人戦七番勝負 第一局 1日目 ハイライト
名人戦七番勝負 第一局 1日目 ハイライト

まとめ

第81期 名人戦七番勝負 第三局 2日目 渡辺明名人 対 藤井聡太竜王
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 以上、名人戦の概要や歴史を分かりやすくまとめました。その伝統と格式にふさわしく、2023年の第81期名人戦も盛り上がりを見せました。新名人となった藤井竜王は史上最年少の名人位です。

(C)名人戦実行委員会
(C)日本将棋連盟

【ハイライト】名人戦七番勝負 第五局(5/31,6/1)
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