【映像】「開封済みの飲料を差し入れ」「手を握られる」など、女性が受けた被害
接客をきっかけにした特定の店員へのつきまといや待ち伏せなどを注意喚起する企業の発信が議論を呼んでいる。これにはSNSを中心に大きな反響があり、「昨日も今日も同じ人が待っていてつらい」「名前や住んでいる場所など執拗に聞かれた」など、さまざまな体験談が寄せられている。
そして、名札も問題になっている。コンビニやカフェなどの店員が付けている名札からSNSが特定され、執拗に連絡が来たという事例もあり、Twitterには「店が丁寧な接客を求め過ぎるのも問題」「客側もあくまでも仕事だということを理解すべき」「今の時代、名札は廃止かニックネームでいい」などの声があがっている。ニュース番組『ABEMA Prime』では、接客業における、店員と客の適切な距離感について考える。
■被害事例、女性陣の意見
バイトでつきまとい被害にあったことがあるエンジさんは「個人情報を聞かれたり、ボディータッチをされたり、ゴミ捨てとか帰りの時に待ち伏せされていたり、変な差し入れをいただいたりした。一番怖かったのは名札が本名だったので、SNSを特定されてしつこくDMが来たこと。DMが来てからは、店長に相談して出禁にしてもらった」と答えた。
エイジさんは週4日の勤務時にほぼ毎回被害にあっていたが、高校生で雇ってもらっていたことと自宅が近かったこともありなかなか辞められなかったという。
タレントの山崎怜奈は「誰がどの時間に働いているは何日かあれば分かるので普通に怖い。店頭でお客様に接している時に愛想がいいのは接客業として当たり前で、店を出たら店員ではないから当然対応は異なる。名前や住んでいる場所を聞かれて、答えるのは業務なのか。仕事としてやらなくてはいけないことと、人として守らなくてはいけないところの線を踏み越えている」と警戒する。
ギャルタレントのあおちゃんぺは「店で出会ったから優しくしているわけではないか。別に外で会ったらシカトしている。それを勘違いしてしまっているのが相当痛い。付き合う可能性とかもゼロではないと思うが基本は何百人も接客をしている中の1人にすぎない。だから、変な期待を持たないで、一線を引けよと思う」と述べた。
山崎は「人として優しくするというよりは、店員として、お客様に優しくしているだけだ。それを人としての好意と受け止められると困る」と話した。
■珍しいことではないが、距離感どう図る?
社会学が専門の関西大学・池谷裕美教授によると、「店側も物を売るため笑顔で声をかけやすい魅力的な店員をおき、フレンドリーな接客を指導するため、客が勘違いするケースも多い。特にアパレル販売員、美容部員に多い」という。
自らの経験から『カフェ店員さんと仲良くなる行動術』を執筆した井口大樹氏は「ついていくとか、待ち伏せをするなど、度が過ぎてしまうという範囲にはもっていかない。もっと低いハードルの挨拶などで接触していくことが大事」と述べた。
さらに井口氏は「連絡先はもらうではなく渡す」「渡す時期は冬から春」であることが大事とした上でその理由を「その時期は異動など環境が変わりやすいタイミング。もし、相手が店を離れることを知っていれば、その時に連絡先を渡し、返事がなければそれで諦める必要がある。いずれにしても連絡先を渡すのは親密度が高くなってからだ」と話す。
山崎は「井口さんのように待ち伏せとか尾行はよくないことだと分かっている人はいいと思うが、問題は分かっていない人がいるということだ。しかも『親密度が高くなってから』という点も難しい。自分は親密度が高いと思っていても、相手はどうか分からない」とコメント。
プロデューサー・慶応大学特任准教授の若新雄純氏は「井口さんが言われたように、潔く諦めることが大事だと思う。ただ、潔く諦めてくれる人かどうかというのは見極めが難しいから、完全にリスクをなくすためには、最初から一切個人情報を伏せるとかアプローチすること自体を禁止にする社会が一番無菌状態で安全だとは思う」と述べた。
■振られた時の引き際と、「傷ついても私のせいじゃない」と伝えること
とはいえ、店の形態やサービスによって違いがあるが、店員と客が仲良くなるケースもあるという。
エンジさんは「実際に友人がバイト先でお客さんと連絡先を交換したと聞いたことがある。でもそのケースでは、友人の方がお客さんに元から好意を持っていた。立場の弱い側からアプローチするのはいいと思うが、お客さんや男性など強い立場の方から来られると断りづらいこともある」と答えた。
若新氏は「先ほど潔く諦めることが大事と話したが、おそらく“フラれ能力ゼロ”の人が『何で俺がフラれなきゃいけないんだ』と逆上しそうで怖いという問題だ。好意は人間関係によっては重たいと思う。好意があると伝える時には、その後のことまでしっかり考えないといけないのだろう」と述べた。
山崎は「私はファンの方に応援していただく側のタレントとして、ファンの方に常々伝えているのは、『街で見かけても声をかけないでほしい』ということ。テレビ局やイベント会場を出たらそこは一生活者だから。『私は声をかけられても“お疲れさまです”としか言えないし、それで傷ついたとしても私のせいではないと思う』とは言っているので、健全な関係を築けていると思う。そこを1つわきまえておくだけで、すべて円滑にいくと思う」と話した。
(『ABEMA Prime』より
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