ブラジルで行われたサッカーの試合中に、人種差別への抗議活動が展開されたようだ。28日、イギリス紙『デイリーメール』が伝えている。
カンピオナート・ブラジレイロ・セリエA(ブラジル1部リーグ)第8節が現地時間27日に行われ、フラメンゴとクルゼイロが対戦した。1-1のドローで終了したこの試合、注目を集めたのは試合開始直後の出来事。キックオフの笛が吹かれてから36秒間、審判団と両チームの選手はピッチ上に座り込み続け、プレーを行わなかったのだ。
この異例の“座り込み”は、レアル・マドリード所属のブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールが受けた人種差別への抗議の意思を表明するべく行われたとのこと。この36秒間の“座り込み”のほかにも、フラメンゴはこの試合で前面に「Vini Jr.」と刺繍されたユニフォームを着用。また、本拠地『マラカナン』に詰め掛けたサポーターは、「everyone with Vini Jr.」と記された横断幕を掲げていたという。
ヴィニシウスは現地時間21日に敵地『メスタージャ』で行われたラ・リーガ第35節にて、スタンドに詰め掛けたバレンシアサポーターの一部から人種差別を受けた。同選手が人種差別の標的にされたのはバレンシア戦が初めてではなく、今シーズンは昨年9月と今年1月に行われたアトレティコ・マドリードとの”マドリード・ダービー”や昨年12月のバジャドリード戦、今年2月のマジョルカ戦などでも同様の被害に遭っている。
ヴィニシウスが育成年代を過ごし、プロとしても公式戦49試合に出場した“古巣”フラメンゴは、事態の発覚後ほどなくして声明を発表。人種差別行為を非難するとともに、「私たちは常にあなたと一緒だ」などと同選手へメッセージを送っていた。度重なる人種差別に心を痛めるヴィニシウスに対し、今回の抗議活動を通じ、改めて連帯を示した形となった。
なお、スペインサッカー連盟(RFEF)は現地時間23日に、バレンシアに対する制裁内容を発表。本拠地『メスタージャ』南スタンドの5試合閉鎖および罰金4万5000千ユーロ(約680万円)を科すことを決定した。また、バレンシアも人種差別行為に及んだサポーターをクラブとして特定し、3名に対しスタジアムからの永久追放処分を課している。
【動画】試合開始から36秒間に渡り行われた異例の“座り込み”
Flamengo supported Vini Jr. with a sit-down protest against racism last night in Brazil ❤️🇧🇷 pic.twitter.com/jCTQrlHd38
— ESPN FC (@ESPNFC) May 28, 2023