理不尽なクレーム、侮辱的な暴言など顧客が企業に対して行うカスタマーハラスメント(カスハラ)。「お客様は神様なのか」と悩みを抱える店主が多い中、超強気な餃子店が宮崎にあった。
「俺が認めた客しか客じゃねぇ」
そう豪語する店主がいるという情報を聞きつけて『ABEMA的ニュースショー』が訪れたのは、今や“餃子日本一”の宮崎市にある、「ギョーザ専門店 黒兵衛」。店内に入ると満席。メニューを見るとお酒以外は餃子だけ。それだけ味には絶対の自信がある証拠だ。
宮崎ということで、巨人軍の選手たちにも大人気。店内には現コーチの元木大介さんや阿部慎之助さんなどのサインが並ぶ。
そんな彼らが虜になっているのが、外はカリカリ、中は野菜とお肉でジューシーな餃子だ(1人前8個、600円)。客はひたすらこんがりと焼けた熱々の餃子をキンキンに冷えたビールで流し込む。多い時では1日1000食を売り切る。
この絶品餃子を作っているのは、やや怖そうな雰囲気を醸し出す大将の黒木賢次さん(74)。1979年、父親の餃子店をのれん分けし開業した。
黒木さんは「具材はキャベツとニラ。季節季節で違う。白菜よりキャベツの方が甘くて、水分が少なくて、歯応えがあって、シャキシャキ感があって、おいしい」と、説明。野菜を多めに、肉は牛豚の合挽をほんの少しだけ入れるのが黒兵衛流。そして、フライパンで焼き上げるのが特徴。
「(店を)開けるとパッと(席が)埋まる。そうしたら即、火をつけて焼く。2人前、3人前という人もいるのでフライパンじゃないとできない。ラードを多めに引いて油を回すんですよ。揚げ焼き。カラッと揚がって皮の香ばしい匂いがするから、フライパンを使う。一生もんですよ、このフライパンは。開店当時からそのまま使ってるから」
創業以来貫いているのはお客さんとの関係。「俺はお客だぞ!お客に対して失礼やろ」。そんな態度に対しては、「あんたをお客だと思ってない。客と認めていないのになぜ自分で『客』と言っているの?」という姿勢だ。
最近特に増えている「ながらスマホ」。そんなお客を見つけるやいなや「出ていってください」と伝えるという。理由は並んでいるお客さんに早く食べてほしいからだ。
「黙ってじっとお客さんを崇めなきゃいけないかというと、そういうことじゃないでしょ?こっちとしても対等に。自分で認めていない人をお客とは思っていません。(お客様は)神様ですというのは基本なんでしょうけれどもね。99%はいいお客様なんですよ。そういうお客さんにお世話になって商売が成り立っているわけですから。本当はこっちが高飛車にお前云々ということは言っちゃいけない。お客さんに迷惑をかけるというのが一番つらいんですよ」
「お客様は神様です』というフレーズの生みの親は、昭和のレジェンド歌手・三波春夫さん。歌謡曲に関する著書も出しているチャッピー加藤氏によると、三波さんの本心とは違う使われ方をしているという。
「演者というものは、お客さんを喜ばせるということをまず第一に考えなきゃいけない。最高のものを見せるためには目の前にいるお客さんを神様だと思う、そういう心持ちでやりなさいという意味。これは演者の側が使う言葉であって、お客さんが使う言葉ではない。『目の前の人を神様だと思え』、これは本当に尊い言葉であって名言。ご飯を食べに来た客が使うなよ!と思います」(チャッピー加藤氏)
黒兵衛では、現在2人の息子が後継ぎとして修行中。厳しい教えは脈々と受け継がれている。
「親父がずっと守ってきたので、僕の時代からはいろいろな人に食べてもらう。そういう意味で、冷凍餃子を全国に広めたいと考えてます」(次男の航平さん)
「(息子は)頑張ってますよ。まだ若いから。昔の人が言うように初心を忘れてはダメ。利益優先にならず、コツコツコツコツ。身の丈に合った商売せいと」(賢次さん)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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