将棋の第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第1局・ベトナム対局は6月5日、藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、叡王、棋王、王将、20)と挑戦者の佐々木大地七段(28)が現在対局中だ。ABEMAの中継には、佐々木七段の師匠・深浦康市九段(51)が出演。和装姿で颯爽と初の大舞台に立った愛弟子へ、「良い将棋を見せてほしい」とエールを送っていた。
【中継】初のタイトル戦で藤井棋聖に挑戦中の佐々木七段(生中継中)
王位3期の経験を持つ深浦九段が愛弟子と出会ったのは、佐々木七段が小学5年生の時。以来その成長を見守り、プロ入りから7年を経てついにタイトル初挑戦を叶えた姿に目を細めていた。タイトル戦登場棋士の証ともいえる和服姿で颯爽と対局室に現れた佐々木七段だったが、「挑戦を決めて2、3日後に呉服店に行って、2着くらい頼んでいましたね」と師匠として購入にも付き添ったという。さらに、「さきほど呉服店さんに確認したところ、今日の和服は羽織と袴は自分で発注したもので、中の着物は私が王位のタイトルを奪取した思い出がありまして、ゲン担ぎでプレゼントさせてもらいました」とエピソードを披露していた。
ともに解説を務めた黒沢怜生六段(31)から、出会った時の印象を問われると、「当時の佐々木は拡張型心筋症という病気を患っていて奨励会自体もどうかなと思っていましたが、将棋が支えになって病気が快復したんですね。プロ入りは(三段リーグ次点2回の)フリークラス入りなど人生の岐路はありましたが、その時のことを思えば何でもできるという思いでここまで来たのではないでしょうか」と当時を振り返っていた。
解説者として中継に出演しているため、深浦九段は「中立を心掛けた解説を」と口にしていたが、弟子への熱い思いはどうしてもにじみ出るもの。「良い将棋を見せてほしいですね」と遠くベトナムの地で晴れ舞台に立った愛弟子へ、エールを送っていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)