総理公邸での“忘年会”が報じられ、不適切な行動だったとして、岸田翔太郎氏は政務秘書官を更迭された。“総理の息子”を巡る騒動を、海外メディアも一斉に報じている。
「日本政治は世襲議員が長く支配してきた」(AP通信)
「このスキャンダルは日本の政治で長らく続く世襲主義の問題だ」(米 タイム誌)
■世襲議員のメリットとデメリット
SNS上では、「本当に政治家になりたい2世・3世は親の地盤も金も引き継いでほしくない。非世襲と同じスタートで始めてほしい」「日本の議員世襲数は異常。まさに政治家家業」といった声がある。
不公平さなどの指摘がある一方で、世襲議員には親の背中を見て若いころから政治のいろはを学んでいるという側面もある。
■日本政治の根強い世襲文化
日本政治の世襲文化の象徴となっているのが総理大臣で、過去20年の総理経験者9人のうち6人が世襲議員だ。岸田内閣でも、父・文武氏の秘書を務めた総理を筆頭に、松本総務大臣や浜田防衛大臣、鈴木財務大臣など世襲議員の姿が目立つ。
そんな政治家の世襲を制限する動きがみられたのが2009年の衆院選だった。民主党が世襲の禁止を公約に盛り込み、自民党も当時の菅選対副委員長を中心に世襲制限を行う方針を固めた。
しかし自民党は、翌年の参院選では世襲候補も公認できる状態となり、反世襲の動きは早くも形骸化した。
■選挙に必要な「3バン」
選挙には、当選するのに必要とされる「3バン」という言葉がある。それぞれ、「地盤」は後援会などの組織、「看板」は知名度、「カバン」は資金力を指す。世襲議員は親族からそれらを引き継げるので、世襲以外の選挙立候補者に比べスタート地点が違うとされている。
様々な声が上がっている世襲議員について、村上世彰氏の次女で女性向けの政治家育成支援も行う、村上財団代表理事の村上フレンツェル玲氏に話を聞いた。
――世襲議員についてどう考える?
「日本の政治は、日本国民全体の多様性が国民の代表者で行う政治にあまり反映されていないことが問題だと思う。世襲議員はその1つの例。一方で、全ての世襲議員がいけないわけではなく、個人的にはすごく優秀な方も多いと思う。
多様性に乏しいのは、日本の政治が元々すごく非合理的で、且つコスパが悪いから。頑張っても能力や成果で評価されないような世界で、一生懸命いっぱい握手して頭下げてようやく政治家になっても、その苦労への対価が無いような職業。そのため、ビジネスやアカデミアの世界で活躍している人が入りたいと思える世界ではないと感じている」
――今、優秀な人は旨味の薄い政治の世界に入らない?
「コスパが悪すぎて普通なら入らないような優秀な人でも、世襲なら入ってくるという、そういうプラスの面もあると見ている」
女性の政界進出を支援するパブリックリーダー塾を主催している村上氏。どのような思いで活動しているのか?
「政治の世界にあまりに多様性がない。世襲・非世襲もそうだし、色々な職業経験がある人が少なく、比較的似たような人たちが多い。また男女で見ると、衆議院では男性議員が9割という偏った状況にある。政治以外のビジネスで活躍している普通の女性が、政治に入っていけるような仕組みを作っていきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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