そんな中、もしあなたの飼っている犬や猫が事故などで出血してしまったらどうなるのか。実はこれまでは輸血ができず、命を落としていたシチュエーションも少なくなかった。
そこに救世主が現れた。中央大学理工学部が人工血液を開発したのだ。ニュース番組『ABEMAヒルズ』は開発者に話を聞いた。
6月14日、中央大学・理工学部の小松晃之教授らの研究グループは犬用の人工血液(血漿)の開発に成功したことを発表した。安全性と有効性もすでに確認されていて、その市場は世界規模とも見られている。
「血液は大きく二つに分けられ、血球成分と血漿成分がある。血球成分は、赤血球が入っているので赤い色をしている。上澄みにあたる血漿成分は透明で色がない。今回我々が開発したのが血漿の部分で、これで犬用のものを開発した」(小松教授、以下同)
犬猫の飼育頭数1800万頭を超えるペット大国の日本。動物医療に対する需要も年々高まりを見せている。
しかし、犬の場合、人間のように献血で血液を採取するシステムが整っておらず、安定した血液製剤の確保が難しいのが現状だった。
「犬の血液を原料として使うことはかなり困難。そういう製剤自身が無いわけではないが、ほとんど臨床の現場では使われない状況。出血してしまった時に輸血ができないので、命を落とすことが、いろんなシチュエーションであった」
安全性や有効性を備えた「ペット用の人工血液」の開発が望まれる中、小松教授が目を付けたのが「ブタ」。犬と比べ、血漿を容易に手に入れられるという。研究グループはこのブタの血漿を活用した。
「ブタの血液は犬にとって異種のタンパク質になるので、投与して副反応が起きる可能性はもちろんある。そのため、我々はブタのアルブミンというタンパク質に、人工の高分子という物質を結合して、ブタのタンパク質を高分子で包んであげるような加工をして犬用に仕上げた」
その結果、研究グループは犬に投与可能な人工血漿の生成に成功。血液型にかかわらず使用でき、また、犬のみならず猫などにも投与が出来るという。
「この人工血液、人工血漿を病院である程度確保して、いつでも投与できるようなシステムができれば、手術のやり方自体が変わってくるんじゃないか」
小松教授はこの人工血液の導入によって、これまで救えなかった命を救えるかもしれないと期待を寄せる。
「もし、手術で予期せぬ出血があった時に、こういった人工血液を投与することで、今まで救えなかった命を救うことができる。非常に画期的な製剤になると予想している」
(『ABEMAヒルズ』より)
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