6月11日にZOZOマリンスタジアムで行われたセ・パ・交流戦、千葉ロッテマリーンズ対広島カープの一戦で、ロッテ・佐々木朗希が大谷翔平(MLBロサンゼルス・エンゼルス)と並び、日本人最速となる165km/hをマークしたが、その剛速球を平然とバットに当てた広島・羽月隆太郎が、にわかに野球ファンの間で注目を集めている。
【映像】“怪物”佐々木朗希の豪速球が打ち崩された瞬間
問題となったのは、4-0、ロッテ4点のリードで迎えたこの試合の5回表、2死一、二塁の場面で打席に立った9番・羽月隆太郎。羽月は、3球で追い込み、カウント1-2としてからの4球目、佐々木が真ん中やや外寄り投じたストレートは、165km/hをマーク。羽月にカットされて三振を奪うことはできなかったものの、大谷と並び、佐々木はこの球で日本人としては“最速”の投手となった。
初球、162km/hのアウトコースへのストレートが外れて1-0となると、続く2球目は真ん中高め、159km/hのストレート。力のある球ではあったものの、これを羽月は「当てに行く」のではなく、打ちに行ってファウルに。多くの打者にとって、文字通り“手がつけられない”状況となっている佐々木の剛速球に、気後れせずに立ち向かう姿勢を見せると、3球目は2球目とほぼ同じコース、ボール1個分程度外寄り、161km/hのストレートを打ちに行って空振り。“カウント的には”1-2と早々に3球で追い込まれることとなった。
しかし、ここからが羽月の見せ場だった。続く4球目は、ほぼ真ん中のストレート。これが冒頭で紹介した“日本人投手最速”となる165km/hの球となったが、なんとこの球でも、羽月から空振りを奪うことができない。羽月はこれを上手く当ててファウルにすると、5球目、インハイの難しい球もファウル。6球目も、アウトコースやや高めのストレートをファウル。ここで2球インコースへの力強い球を見せた後であれば、低め・遠めの球は効果的ということもあり、7球目は、これまでのストレート押しから一転、ややボール気味に投じた外寄り、低めのフォークとなったが、これも当ててファウル。“無双の怪物”といえど、さすがに嫌な気配を感じ取ったのか、続く7球目は、外角低め、ボール気味のフォークで勝負を決めにかかることに。しかしこれだけ160km/hを超える剛速球を見せられた後でのフォークでありながらも、羽月はしっかりとこれを見定めてカウント2-2。よほどこの1球が大きかったのか、羽月が手を出さず、ボールとコールされた瞬間、マウンド上の佐々木も落胆ともとれるなんともいえない表情を見せた。
一方、3球で追い込まれながらも、そこから脅威の粘りで平行カウントへと持ち込むことに成功した羽月は、より一層、佐々木への“攻め”の姿勢を見せる。続く8球目、前球よりも目測でボール1個半程度、内に入れたフォークも、落ち着き払って当ててファウルに。さすがにこうなってくると、佐々木といえども、投げるコースが無くなってくるほどだ。
そして粘りに粘って迎えた9球目、真ん中高め、やや内寄りの球を、葉月は逆らわずにレフト前へと放ち、2点タイムリーに。1塁上で諸手を挙げ、嬉しそうなガッツポーズを見せることとなった。
6月16日放送のABEMA『バズ!パ・リーグ』では、改めてこの白熱した対決を振り返ることとなったが、野球解説者の里崎智也氏は、「165km/h出てても、羽月にバット当てられてましたからね。しかもこれ最後、羽月が打ってタイムリーでしょ?2点ね。投げた方もすごいですけど、羽月のバッティングも素晴らしかった」と、脅威の粘りの末に貴重な2点タイムリーを放った羽月の打撃を称賛する形でコメント。
また、ネット上の野球ファンからは「痺れる戦いでした。応援と羽月選手の粘り、そして佐々木選手の豪速球。たまらないです」「165出た時に球場が湧く中、一切表情変えずに集中してる羽月かっこよすぎる」「165km出す佐々木はもちろん凄いんだけどそれをカットして9球粘ってタイムリー打つ羽月も凄い 絶対チャンスを掴む、一軍に生き残るって執念を感じる」「勝ち負け関係なくこういう本気のぶつかり合いはたまらんな」「165キロ出した佐々木選手ももちろんすごすぎるけど、その真っ直ぐをずっと粘ってからの不意のフォークも見極めて最後仕留める羽月選手もすごすぎる!」「佐々木朗希に最速投げさせて9球粘って今シーズン初ヒット初タイムリー打つ羽月。期待しかない」「フォークを見逃すの凄すぎる」「ものすごい集中力…」と、日本人投手最速の165km/hをマークした佐々木と、そんなに“驚速男”に一歩も引くことなく、白熱した勝負を見せた羽月を称賛する声を中心に、声が寄せられている。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)