2023年9月8日からラグビーワールドカップ2023が開幕します。本稿では今大会の決勝が開催される日程や過去の優勝国、今大会の優勝候補をご紹介します。
目次
- ラグビーワールドカップ2023の決勝はいつ?
- ラグビーW杯の歴代優勝国
- ワールドカップ2023の優勝国予想
- まとめ
ラグビーワールドカップ2023の決勝はいつ?
ラグビーワールドカップフランス大会の決勝戦は、現地時間2023年10月28日21時キックオフ。日本時間では翌29日の午前4時となります。
チャンピオンになれば、ウェブ・エリスカップと呼ばれる優勝杯を手にします。前回の日本大会で南アフリカ代表が手にしたそのカップは、すでにフランスに上陸済みです。
ラグビーW杯の歴代優勝国
ラグビーワールドカップはこれまで9回おこなわれ、のべ4チームが頂点に立っています。ここではラグビーワールドカップの歴代優勝国についてまとめます。
第1回優勝国:ニュージーランド
1987年の第1回大会を制したのは、開催国だったニュージーランドです。後に日本のヘッドコーチを務めるジョン・カーワン選手がエース格となり、パワフルな走りを繰り出していました。クレイグ・グリーン選手とともに両ウイングを組み、計7トライずつを挙げてトライ王にも輝きました。
第2回優勝国:オーストラリア
イングランド、フランス、アイルランド、スコットランド、ウェールズといった5つの国・地域が共催した第2回大会は1991年に開催され、頂点に立ったのはオーストラリアでした。デイヴィッド・キャンピージ選手の決定力が光りました。
第3回優勝国:南アフリカ
1995年の第3回大会は、南アフリカ大会で開催されます。アパルトヘイト政策が廃止されて最初の大会でした。ここで国際舞台に復帰したばかりの南アフリカが、大躍進を遂げます。同国で黒人初の大統領となったネルソン・マンデラ氏は、ラグビーを嫌っていた非白人層へ「ワンチーム・ワンカントリー」を掲げて団結を求めました。
スプリングボックスこと南アフリカは、初優勝を成し遂げます。フランソワ・ピナール主将が優勝杯のウェブ・エリスカップを掲げるまでの物語は、のちに『インビクタス/負けざる者たち』という映画になります。
第4回優勝国:オーストラリア
1999年の第4回大会は、ウェールズなど欧州5カ国で実施。オーストラリアが2度目の優勝を飾りました。主将のジョン・イールズ選手ら第2回大会の優勝を知るベテランと、ジョージ・グレーガン選手、スティーブン・ラーカム選手という若き司令塔団がハーモニーを奏でました。グレーガン選手とラーカム選手は、その後しばらくオーストラリア代表の屋台骨を支えます。そして晩年には、2人とも日本のトップリーグ(当時名称)でプレーします。
第5回優勝国:イングランド
前回の覇者であるワラビーズことオーストラリアは、2003年に自国であった第5回大会の優勝を逃します。決勝まで進むことはできましたが、その舞台でイングランドが延長戦の末に勝利。北半球勢初の優勝チームとなりました。
決勝点をドロップゴールで決めたジョニー・ウィルキンソン選手は、ラグビー史上有数の名キッカーと謳われます。2015年の第8回大会で一世を風靡した五郎丸歩(ごろうまる あゆむ)選手も、日本代表に定着する前にウィルキンソン選手の指導を受けたことがあります。
第6回優勝国:南アフリカ
ウィルキンソン選手のゴールに悔し涙を飲んだオーストラリアのエディー・ジョーンズヘッドコーチは、その後、意外な形でワールドカップに帰ってきます。2007年にフランスであった第6回大会へ、なんと南アフリカのアドバイザーとして参戦。指揮官のジェイク・ホワイト氏を支え、キックと防御とフォワード戦重視のチームをプロデュース、南アフリカに史上2度目の優勝をもたらします。ジョーンズ氏はその後、ワールドカップで日本、イングランドを率いて多くの白星を掴み取ります。
第7回優勝国:ニュージーランド
そのジョーンズ氏が参加しなかった2011年の第7回大会は、ニュージーランドで開かれました。優勝したのは開催国のニュージーランド。2度目の栄冠です。大会途中に司令塔のスタンドオフを相次ぎ故障で失いながら、フランス代表との決勝を辛くも制しました。
第8回優勝国:ニュージーランド
2015年の第8回大会でも、オールブラックスことニュージーランドが優勝。3度目の栄冠は、当時のワールドカップ史上最多となります。ボールへの嗅覚が鋭いフランカーのリッチー・マコウ主将、ブロディ・レタリック選手とサム・ホワイトロック選手という2メートル超のロックコンビ、判断力の高い司令塔のダン・カーター選手らタレントがずらり。開催国のイングランドで、バランスの取れた試合運びを披露しました。
第9回優勝国:南アフリカ
そのニュージーランドの連覇がついえたのが、2019年の第9回大会でした。準々決勝で日本を下した南アフリカが優勝。力強いフォワードが主体となった伝統の戦いぶりを貫き、ウェブ・エリスカップを手にしました。
ワールドカップ2023の優勝国予想
4年に1度おこなわれ、これまでの9大会でのべ4チームが頂点に立ってきたラグビーワールドカップ。2023年秋にフランスで開かれる記念すべき第10回大会は、最も優勝予想が難しい大会だと言われています。
優勝候補1.フランス
チームとしての充実ぶりが光るのは、開催国のフランスです。数年来の若手世代の育成が奏功し、スクラムハーフのアントワーヌ・デュポン選手、スタンドオフのロマン・ヌタマック選手らが台頭。元主将のファビアン・ガルティエヘッドコーチのもと、一昨年から今年にかけてはテストマッチ(代表戦)14連勝を記録しています。
伝統的に「シャンパンラグビー」と言われるひらめきたっぷりの試合展開を披露できるうえ、試合ごとの波が少ないチームとなっています。
優勝候補2.アイルランド
そのフランスの連勝を止めたのは、アイルランドです。フランスを下した今年の欧州6カ国対抗戦は、そのまま優勝。充実ぶりをアピールしました。
アイルランドは、安定感あるセットプレーを軸に、多彩なアタックを仕掛けられます。ベテラン司令塔のジョナサン・セクストン選手の周りには、精度の高いキックを誇るスクラムハーフのコナー・マレー選手、爆発力のあるセンターのバンディー・アキ選手、ニュージーランド出身で突破力のあるウイングのジェームズ・ロウ選手とタレントが揃います。
セットプレーを支えるフォワード陣にも右プロップのタイグ・ファーロング選手、ロックのジェームス・ライアン選手ら大型選手が揃います。前回までは、ワールドカップになると結果を出せない状態が続いていましたが、2023年大会を脱皮のきっかけとできるか、注目されます。
優勝候補3.南アフリカ
ディフェンディングチャンピオンの南アフリカは、予選プールでアイルランドなどと激突。厳しい船出を強いられますが、献身的なスクラムハーフのファフ・デクラーク選手、小兵ウイングのチェスリン・コルビ選手、パワフルなフッカーのマルコム・マークス選手ら優勝メンバーを多く揃えて連覇を目指します。目標が達成されれば通算4度目の優勝、単独で最多の優勝国となります。
優勝候補4.ニュージーランド
そして、南アフリカと同じく単独最多4度目の優勝を目指すのが、オールブラックスことニュージーランドです。昨季は対アイルランド3連戦を負け越すなど、ワールドカップで連覇していた時期よりも黒星が増えているのは事実。しかし現役選手たちは、本番までに軌道修正できると強調しています。
昨年まで分断されることの多かった攻撃のコンビネーションをどこまで磨き直せるかがカギとなりそうです。キーマンのひとりはスクラムハーフのアーロン・スミス選手。2023年で34歳と年齢こそ重ねていますが、大一番でのゲームコントロールは期待大です。2022年秋の日本戦でも途中から出場するや好判断を披露。38-31のスコアで相手の金星奪取を防いでいます。
優勝候補5.オーストラリア
今年に入って危険な存在として注目されているのは、オーストラリアです。昨年限りでイングランドの指揮官を辞任したエディー・ジョーンズヘッドコーチが、約17年ぶりに電撃復帰しました。
ジョーンズ氏は、2003年の第5回大会で母国を率い準優勝。次の第6回大会では南アフリカの参謀役として優勝を果たしました。さらに2015年の第8回大会では、日本を牽引して南アフリカなどから歴史的3勝。日本でおこなわれた2019年の第9回大会では、第8回大会で予選敗退したイングランドを準優勝に導いています。
様々な特徴を持った国を転々とし、その都度、結果を出してきたジョーンズ氏。前回のワールドカップ以降、勝率4割未満と苦しむ通称ワラビーズをどう改善するか。その手始めに、スタンドオフのバーナード・フォーリー選手やクウェイド・クーパー選手ら、長らく代表から離れていた熟練者の復帰も模索しているようです。今後の打つ手が注目されます。
日本代表の優勝の可能性は?
かつてはこのジョーンズ氏のもとで結果を出し、前回初めて決勝トーナメントに進んだ日本もまた、史上初の優勝を目指しています。まずはイングランド、アルゼンチンといった強豪がひしめく予選プールを勝ち上がり、オーストラリアと当たる可能性もある準々決勝をクリアするのが当面の目標でしょう。
このほど新設のハイパフォーマンスに加盟し、強豪国グループへの仲間入りを果たした日本代表。引き続き世界を驚かせることはできるでしょうか。
まとめ
4年に1度のワールドカップは2023年年9月からのフランス大会で10回目を迎え、現地時間2023年10月28日の決勝までの約2か月間、熱戦が繰り広げられます。
前回は大型フォワードを擁した南アフリカが3度目の優勝を果たしました。今回も主要メンバーを変えずに4度目の優勝を目指しますが、国際舞台の勢力図は混沌としています。
惜しくも前回の決勝で敗れたイングランドは、2023年大会前に指揮官を交代させました。辞任したエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチはなんと、やや低迷する母国オーストラリア代表のボスとなりました。
今回のワールドカップでは、開催国で昨年までテストマッチ14連勝中のフランス、今年の欧州王者となったアイルランドといった充実したチームを含め、多くの優勝候補が乱立していると言えます。誰が頂点に立つのかが読みづらいと言えます。
前回初めて決勝トーナメントに進んだ日本代表も、虎視眈々と世界を驚かせる準備をしています。試合によっては日本時間明け方のキックオフとなりますが、早起きしてチェックしたいですね。