どうすればチームを助けられるのか、その一つの答えがデュエルなのだろう。日本代表の新キャプテンに就任した遠藤航は、ブンデスリーガの全選手の中で唯一、3年連続でデュエル勝利数「400」超えを記録した。所属するシュトゥットガルトは、残留争いに回ったチームにも関わらず、なぜ遠藤は、圧倒的なパフォーマンスを示し続けられたのか。
3年連続のデュエル王こそ逃したが、遠藤のパフォーマンスと存在感はむしろ、日に日に際立っていった。
「デュエル王になるためにという意識はそこまでしていないですけど、毎試合、1対1の局面で勝つことは、ブンデスリーガに来てから僕がずっとテーマにしていること」
もはや「デュエル」が代名詞となった遠藤のプレースタイルを一言で言うならば、まさに「局面で勝てる選手」だろう。過去3シーズンのデュエル勝利数は2020-2021シーズンから「476」「448」「439」。昨季、1位となったドルトムントのベリンガムの「482」という数字と遜色ないほど素晴らしい成績だろう。なにより、全選手の中で唯一、遠藤だけが3年連続で「400」を超えていることこそが、彼の1対1の局面における強さを物語っている。
チームへの貢献度も非常に高い。そもそも、シュトゥットガルトは、リーグ戦は16位でブンデスリーガ昇降格プレーオフに回ってしまったが、デュエルにおいてはバイエルン(リーグ1位)、マインツ(同9位)に次ぐ3位の成績だった。そのチームにあって、遠藤の「439」という数字は、全体の12.36%も占めているのだ。
「自分がどうすればチームを助けられるかは意識しています。ポジション的にも常に真ん中でプレーしているので、攻守に関わる回数が多い分、常にデュエルの割合もすごく高くなる印象がありますね。自分としては、チームのためにやりながら、個でどう相手を上回るか。それはイコール、チームの助けになるという感覚でプレーしている。自分のプレーに責任を持ち、プレーで示すことを意識しているので、結果に表れているのはすごく嬉しいことです」
極端に言えば、どんな時でも変わらずに戦い続けている、ということ。チームが勝っても、負けても、同じようにデュエルで勝ち続ける。「デュエル勝利数が多ければ多いほど、勝った試合も多いかというと、その感覚はない。ただ、確率で言うと、デュエル勝利数が多かったほうのチームが勝つ確率が上がる」。そう考え、試合に臨んできた。
「シュトゥットガルトは、他のチームと比べても個の能力の高い選手が多い印象です。若さゆえになかなか勝ち点を取りきれない脆さがありますけど、勢いに乗った若い選手の個の能力で言うと、すごくタレントが揃っていると思っています。そこは守備だけではなく、攻撃の1対1でも、シュトゥットガルトは特にその強さを発揮しています」
そういうチームだからこそ、遠藤はキャプテンとして自らのプレーで示してきた。その姿が連鎖するように、チームのデュエル勝利数も増えていった可能性は十分にある。遠藤が引き上げたチームは昨季、ブンデスリーガ残留を果たした。デュエルだけでなく、次は順位でも上位へ。遠藤が、チームをさらに高みへと導いていく──。
(ABEMAスポーツタイム)
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