いま、世界各地で豪雨や猛暑により様々な影響が起きている。こうした異常気象について『ABEMAヒルズ』は、気象学・気象力学・大気科学などを専門に研究している三重大学大学院の立花義裕教授に話を聞いた。
━━日本での豪雨や猛暑には、どんな原因があるのか?
立花教授:たくさんの原因があるものの、直接的な原因は偏西風が激しく蛇行していることだ。日本上空を激しく蛇行している偏西風の北側は寒く、低気圧で雨が振る。南側は暑い。蛇行が起きる理由の1つにはエルニーニョ現象などがある。ただ、いまの激しい気候は4~5年に一度起きるエルニーニョ現象では説明がつかない。偏西風の蛇行は北極の氷が溶けて赤道付近との温度差が縮まることで起こるので、地球温暖化が原因の1つだろう。
━━たまたま地球の気象環境が大きく変化する周期に立ち会っているということではないのか?
立花教授:多くの異常気象の原因はCO2の増加に伴う温暖化だ。これまでのエルニーニョ現象であれば自然変動によるものなので、人類は経験してきた。しかし、地球が温暖化した状態でのエルニーニョ現象は経験したことがない。元々の原因を作っているのは人類だ。我々は異常気象の加害者でもある。地球温暖化は人間を含めたすべての生態系に影響があるだろう。植物の植生も変わるかもしれない。CO2の増加をすぐに止められたとしても、急に気温が下がることはなく10年くらいかかる。地球温暖化に適応した社会構造に変える必要がある。
━━CO2削減の動きについて、日本の意識は世界と比べると低い?
立花教授:圧倒的に低い。例えばドイツの役人は、短い距離の移動に飛行機を使ってはいけないルールがある。CO2を多く出す飛行機はよほどの理由がないと使ってはいけないということだ。日本とはもう国のシステムから全然違う。
━━人間の時間軸で地球の気候変動や異常気象に対応していくことは可能なのか?
立花教授:人間の寿命は100年ほどで、どうしても自分が生きている世代だけを見てしまいがちになる。そうではなく、自分の子どもや孫の未来まで視界を広げてほしい。
(『ABEMAヒルズ』より)
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