将棋の第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局が7月18日、新潟市の「高志の宿 高島屋」で指され、佐々木大地七段(28)が藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、叡王、棋王、王将、20)に敗れた。今シリーズでタイトル初挑戦となった佐々木七段は、この結果1勝3敗でタイトル奪取には及ばなかったが、「初めて経験することが多かったが非常に勉強になった。この経験を活かしてさらに活躍し、この舞台に戻ってこれるように頑張りたい」と語り、更なる飛躍を誓った。
佐々木七段のタイトル初挑戦は1勝3敗の戦績で幕を閉じた。奪取まで後がない状態で迎えた本局は、先手番で相掛かりを志向。第2局でタイトル戦初勝利をもぎ取った得意戦法を若き絶対王者へぶつけた。序中盤は佐々木七段のペースで進行。藤井棋聖の持ち時間を削りながら激しい攻め合いへと向かった。
難解な中盤戦では、佐々木七段は角の効きを活かすため端に桂馬を跳ねる構想を披露。継続手がない場合は負担にもなりかねないが、ABEMAの中継に出演した八代弥七段(29)は「佐々木七段はリスクを承知で攻めの形を作った」と解説していた。しかし、佐々木七段にとっても「桂馬が負担になっていて難しいなとは思っていた」。さらに、技の掛け合いで「歩を消費しすぎてしまった」とも振り返り、中終盤でのミスを悔やんだ。最後は「本譜は収集がつかなくなり一歩及ばすという形になってしまった」と1分将棋に突入したところで投了。初めてのタイトル戦を終えた。
2016年4月のプロ入りから7年越しでたどり着いた初の大舞台。結果はほろ苦いものとなったが、収穫は大きかったようだ。「初めて和服を着ての対局で慣れない部分もあったり、海外対局も含めて初めて経験することが多かったが非常に勉強になった。大舞台で自分の将棋をある程度は指せたかなと思います」と胸を張る。「これを活かすためにはさらに活躍して、またこの舞台に戻ってこれるように頑張りたい。改めて初めていろんな方に応援していただいたことが力になったと思う」とファンへの感謝も口にしていた。
大勝負を終えた佐々木七段の戦いは続く。現在、同カードで伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負が進行中。タイトルホルダーの藤井棋聖が2連勝と好発進しているが、持ち時間8時間の2日制にも徐々にアジャストしている。第3局は次週の7月25・26日に北海道小樽市で予定されており、巻き返しにも大きな期待が寄せられている。佐々木七段の真夏の挑戦はまだまだ終わらない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)