将棋の第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局が7月18日、新潟市の「高志の宿 高島屋」で指され、藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、叡王、棋王、王将、20)が佐々木大地七段(28)に勝利しシリーズ成績3勝1敗で防衛4連覇を果たした。終局後には記者会見に応じ「佐々木七段の強さを感じる場面が多くあり、これまでの4期の中でも大変なシリーズだった。防衛できたことを嬉しく思っています」と喜びを語った。質疑応答の主な内容は以下の通り。
――4連覇達成の感想、来期への抱負
今期防衛できたことを嬉しく思っています。今期4局の内容を振り返ってみると押されている将棋も多く、佐々木七段の強さを感じる場面が多くありましたし、これまでの4期の中でも大変なシリーズだったのかなと感じています。来期は永世称号がかかりますが、そういったチャンスは初めてのことになるので、来期が始まるまでに少しでも実力を高めて臨めるように出来ればと思います。
――20歳最後の対局だった。この1年で印象に残ったことは?
振り返るといろいろなことがあったなと感じますが、名人戦の舞台に立つことができたのは自分にとって大きな経験になったと思っています。また、直近1年のタイトル戦ですと、広瀬(章人)八段、羽生(善治)九段などタイトル戦で対戦がなかった方と当たる機会も多く、今回のシリーズも併せて学ぶことが多かったと思っています。
――王位防衛と八冠獲得への思い
そういったことを期待していただいていることは嬉しく思いますが、自分としてはまだそれほど意識はしていないです。王座戦はこれまでタイトルに挑戦するという機会が作れなかったので、そこは目指したい気持ちは持っています。王位戦は今回の棋聖戦の内容を踏まえながら、前よりも良い将棋が指せるように頑張っていければと思っています。
――終局後インタビューでは「防衛戦が年々厳しくなっている」と語っていた。
本局もそうでしたが、特に後手番の時に主導権を握られてしまうような展開が増えてきていると思っているので、そこは今後も大きな課題になるかなと思っています。私自身の成績で見ると、ここ2年で先手・後手で勝率に2割以上差が出ているので、後手番でどう戦うかというのが非常に難しいところなのかなと思っています。要因で言うと序盤の作戦が洗練されてきていて、一局ごとに新しい工夫をされる将棋がかなり多くなっているので、それに対してなかなかうまく対応できていないことが多いのかなと思っています。ただ、本局については、序盤でこちらの認識に甘いところがあったのかなと思うので、そういったところを少しずつ埋めていかないといけないのかなと思います。
――相掛かりの戦型と向き合ってみて
相掛かりは序盤からかなり選択肢の広い戦型で、指していてもわからないところが多いなと毎回感じています。細かい手の組み合わせでかなり変わってきてしまうところが多いので、そういった様々な形に関する認識をより深めていく必要があるのかなと思っています。
――8月4日には王座戦挑戦者決定戦で豊島将之九段と対戦する。印象と、どんな対局にしたい?
豊島九段とはこれまでも数多く対戦していて、強さというのはすごく感じています。直近の対戦は半年ほど前になりますが、それ以降は少し戦型の選択も以前と変えられているのかなと見ているので、そのあたりも踏まえながら準備をしていければなと思っています。
――ファンへ
本局は序盤から佐々木七段に積極的に動かれてこちらが少しずつ損をしてしまうような展開で、そのあたりは自分の課題が出てしまったのかなと思います。終盤もいろいろあって難しい将棋でしたが、最後まで集中して指すことができて結果につなげられたのは嬉しく思っています。来週以降、王位戦をはじめ王座戦など対局が続くことになるので、コンディションを整えて精いっぱい指したいと思います。
(ABEMA/将棋チャンネルより)