周防監督「検察の体質変わらない。1回解体しないとダメなんだろう」 “袴田事件”さらに長期化へ、検察が有罪立証の方針表明
【映像】ねつ造の可能性を指摘される「5点の衣類」
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 1966年に静岡県清水市(当時)で、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」をめぐって、死刑判決を受けた袴田巌さん(87)の再審公判を前に、検察側が有罪立証する方針を示した。

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 冤罪(えんざい)の可能性が高いとされ、弁護団は早期の無罪判決を求めているものの、今回の方針により審理の長期化が予想される。『ABEMA的ニュースショー』では、冤罪事件を扱った映画『それでもボクはやってない』を監督し、20年近く刑事司法の問題を取材している映画監督の周防正行とともに、検察の姿勢について考えた。

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 まず清原博弁護士は、検察が有罪を立証しようとすることは法律上許されていて、違法ではないと説明する一方で、検察側の姿勢には疑問を投げかける。

「検察が有罪立証しようとする点は、これまでも散々争われてきた。その結果、検察の主張は受け入れられず、弁護側の主張が正しいと裁判所が認定した。なのに、それをまだ有罪だと言い張るのは、不当な蒸し返しと思うのは当然。その世論の声をなぜ検察は聞かないのか。怒りも感じる」(清原弁護士)

 有罪立証の方針に、周防監督は「ここまで検察って変われないんだな」と驚いたという。「郵便不正事件」をめぐる大阪地検特捜部による証拠改ざん事件を契機に、「検察の在り方検討会議」が設置され、そこで検察の理念が公表された。

「なにひとつ、その通りになっていない。その事が今回明らかになって、『これは一回解体しなければダメなんだろう、この人たち』というくらいショックだった」(周防監督)

周防監督「検察の体質変わらない。1回解体しないとダメなんだろう」 “袴田事件”さらに長期化へ、検察が有罪立証の方針表明
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 再審が長期化する背景には、検察が「自分たちが一番真実に近く、無罪判決は裁判所のミスだ」と思い込んでいることにあるのでは、といった指摘もある。周防監督は以前、元検察官から、こんな話を聞いたという。

「あらゆる証拠に目を通し、あらゆる人の話を聞き、捜査を尽くして、事件のことを一番深く知っているのは自分たち。その自分たちが有罪を確信している、真犯人だと確信して起訴すると。裁判官よりも、弁護士よりも、この事件を知っているのは自分たちだ、というメンタリティーは確実にあるそうだ」(周防監督)

 「だからこそ、裁判官や弁護人に「つまらない証拠」を見せて、無罪かもと思われちゃいけない。検察が証拠を隠せるというのはそういう理由。俺たちは無罪方向の証拠も、全部見たうえで『真犯人だ』としている。だから裁判所で有罪判決をもらうのが、自分たちの正義を果たす」といった考えがあるようだと、周防監督は元検察官のやりとりを紹介した。

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 清原弁護士は「捜査側には思い込みがあると思う」としつつ、自らが知る検察官たちの話からは、必ずしも「有罪を勝ち取ることだけが使命である」との考えではないと語る。

「『無罪の人がいるならば起訴しない』ということも検察の役割だと、十分わかっている。その上で、自分たちにとって都合のいい『有罪になるような証拠』だけでなく、『無罪になるような証拠』も十分見ている。上司の決裁を取る時も『無罪の証拠をちゃんと見ているか。弁護側が主張したら、どう反論するのか』まで問われ、それでも有罪だから自信を持って起訴しているという」(清原弁護士)

 多くの検察官はそう考えているものの、ごく一部の検察官や捜査機関は「絶対有罪だ」という決めつけの思い込みから暴走してしまうと分析し、「検察一般が全ておかしいとは言わないが、一部の検察官の意識を変えなければならない」と清原弁護士は指摘する。

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 周防監督は、「その一部の検察官の意識を組織が認めて、組織的防衛に走っている。そこに問題がある」と指摘する一方、裁判官も「上をうかがう」姿勢があり、「横並び」の考え方があるのではと見ている。

「無罪判決や再審開始決定を書いたりする裁判官は出世に影響するんじゃないか、と言われている。それを証明することはできないが、組織的には上をうかがう雰囲気はできてしまう。ある裁判官が、再審開始決定を書こうとした時に、右陪席・左陪席の意見がすごく気になったと。『それを書いて彼らの将来を邪魔することになりはしないか、とつまらないことを考えてしまった』『両陪席が再審開始という意見でホッとした』という話を聞いた。それぐらい日本は横並びというか、周りを見る。非常識なことをしたくないというのはある一面では正しいが、独立していない」(周防監督)

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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