「なぜかカッコいい手が落ちている」藤井聡太王位の強烈な切り返しの一手に解説者驚き ファンは「ネ申」「次元が違う」と大興奮/将棋・王位戦七番勝負第3局
【映像】勝負の決め手となった藤井聡太王位の香捨ての一手

 将棋藤井聡太王位(竜王、名人、叡王、棋王、王将、棋聖、21)に佐々木大地七段(28)が挑戦する伊藤園お〜いお茶杯王位戦七番勝負第3局が7月25・26の両日、北海道小樽市の「料亭湯宿 銀鱗荘」で指され、藤井王位が131手で勝利した。超難解な一戦は、藤井王位が終盤に鋭い切り返しを見せて押し切る結果に。ABEMAで解説を務めた行方尚史九段(49)は、勝負を決めた藤井王位の香捨ての一手に「なぜかカッコいい手が落ちているんですよね」と驚きを隠せない様子だった。

【映像】勝負の決め手となった藤井聡太王位の香捨ての一手

 若き七冠王がまたしても鮮烈な勝利を飾った。本局は藤井王位と佐々木七段による“真夏の十二番勝負”の王位戦第3局。舞台は石狩湾を見下ろす高台に建つ「銀鱗荘」で、沿岸沿いを走る函館本線の列車の警笛が時折対局室にも響いていた。19日に誕生日を迎え21歳初に臨んだ藤井王位は、先手番で得意の角換わりを志向。リード拡大を何としてでも食い止めたい挑戦者の佐々木七段は右玉で対応した。藤井王位は「右玉に対してこちらがどう打開するかという将棋だったのですけど、ちょっとバランスの取り方がわからなかった」と繊細な出だしを振り返った。

 佐々木七段は1筋から動く積極策に出たが、「攻めを呼び込むことになりましたが、1筋を刺激したのはあまりよくなかった気がします。6筋の攻めも怖かったですし、馬を作ってもポイントになっていなかったかなというところで、いろいろと誤算があった」。中盤戦での2時間32分に及ぶ大長考は「局面に自信がなかったのでどう粘るか。方針が決まらずいろいろ比較して、どれも自信がなかった」と難解な局面を語っていた。

 藤井王位の銀打ちで形勢が傾き出したかと思われたが、佐々木七段も簡単には倒れず持ち前の粘り強さを発揮。終盤まで形勢は互角のまま展開していた。藤井王位は堅い玉形を活かして連続王手で後手玉を猛攻。相手の攻めを呼び込む受けの手を重ねていたが、香捨てから角打ちの組み合わせで鋭く切り返して一気に勝勢へと持ち込んで見せた。藤井王位は「(直前の後手の馬引きを)軽視してしまっていた。本譜は何か負けの順があってもおかしくないなと思いながら指していました」としたが、佐々木七段は「気付くのが遅れてしまった」とし天を仰ぐ様子も。最後は藤井王位が高難度の29手詰から鋭く討ち取って見せた。

 香車を犠牲に一手を稼ぎに行く藤井王位の構想に、解説を務めた行方九段は「なんか…なぜかカッコいい手が落ちているんですよね」とし、終盤での切り返しに驚きを隠せない様子だった。最後まで見どころ満載の一局に、ファンも大興奮。「ネ申」「次元が違う」「どうしてこうなった…」「これが7冠の手」「さす聡」「こんな手あるのかー」「もう井上尚弥のラッシュ状態やん」「神速の終盤」など多くのコメントが押し寄せていた。

 シリーズ成績は藤井王位の3連勝で、防衛4連覇にあと1勝に迫る。次戦で藤井王位が防衛4連覇を達成するか、佐々木七段が意地を見せるか、注目の第4局は8月15・16日に佐賀県嬉野市の「和多屋別荘」で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】勝負の決め手となった藤井聡太王位の香捨ての一手
【映像】勝負の決め手となった藤井聡太王位の香捨ての一手
【映像】藤井王位が3連勝を飾った王位戦第3局 ハイライト
【映像】藤井王位が3連勝を飾った王位戦第3局 ハイライト
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