自信満々の99%予想が外れて、控室は大爆笑だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」本戦トーナメント1回戦・第1試合、チーム永瀬とチーム広瀬の対戦が7月29日に放送された。チーム永瀬は永瀬拓矢王座(30)、増田康宏七段(25)、本田奎六段(25)と年齢も近い3人組。日頃から研究会でも顔を合わせているせいか、チーム永瀬の例年と比べても実に和やかな雰囲気の控室になっている。すると永瀬王座が出番となった第4局を前に、対戦棋士を増田七段が「99%」と予想したものの、これがものの見事に大ハズレ。一同、大笑いの瞬間が訪れた。
きっちり計画を立てるチームもあれば、間際になってじゃんけんで決めるチームもある。この団体戦の見どころの一つである「オーダー決め」は、実にチームカラーや棋士の性格が出るポイントだ。永瀬王座は将棋に対してストイックなことで有名な棋士でもあり、当然ながら自チームのオーダーもしっかり考え、当然相手も戦略を練っていると考えるタイプだ。これには仲間の増田七段、本田六段も同じ考え。第3局までにスコア2-1とリードしたところ、次の出場棋士は第1局で敗れていた永瀬王座がリーダー自ら借りを返しにいくと決めていた。
すると増田七段は、チーム広瀬のオーダーを「99%」の確率で、第1局で登場した近藤誠也七段(26)だと予想した。第1局から近藤七段、石井健太郎六段(31)、広瀬章人八段(36)と順番に出場してきた様子を見れば、堅い予想でもある。ところがスタッフから伝えられた名前は、第2局に出た石井六段。きれいに予想が外れた格好になった。
これがツボに入ったのが、永瀬王座だ。「ほらー。99%って言ってたら。そんな気がしましたよ」と大爆笑。増田七段が「外れるもんですね」と苦笑いすると、さらに永瀬王座は「99%って言ってもはずれますよ」と繰り返していた。微笑ましいやりとりにファンもつられて笑ってしまったようで「本当に軍曹楽しそうだな」「勝ってるとゴキゲン」「永瀬が笑ってくれると嬉しいよ」「永瀬さんニコニコ」という声が多く集まっていた。なお、予想は外れたものの対局は永瀬王座が110手で勝利。チーム勝利を大きく手繰り寄せる価値ある白星を持ち帰った。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)