フライブルクの堂安律(どうあん りつ)選手やフランクフルトの長谷部誠(はせべ まこと)選手など日本人選手が多く在籍するドイツ・ブンデスリーガ。昨シーズンは、絶対王者バイエルン・ミュンヘンが優勝し、リーグ11連覇を達成しました。2位のドルトムントも勝ち点で並び最終節まで激しい優勝争いが繰り広げられました。本記事では、2023-2024の優勝チーム予想、ブックメーカーによるオッズ、さらに歴代優勝チームを紹介します。
歴代ブンデスリーガ優勝チーム一覧
シーズン | 優勝クラブ |
---|---|
1963-1964 | ケルン |
1964-1965 | ブレーメン |
1965-1966 | 1860ミュンヘン |
1966-1967 | ブラウンシュヴァイク |
1967-1968 | ニュルンベルク |
1968-1969 | バイエルン |
1969-1970 | メンヘングラートバッハ |
1970-1971 | メンヘングラートバッハ |
1971-1972 | バイエルン |
1972-1973 | バイエルン |
1973-1974 | バイエルン |
1974-1975 | メンヘングラートバッハ |
1975-1976 | メンヘングラートバッハ |
1976-1977 | メンヘングラートバッハ |
1977-1978 | ケルン |
1978-1979 | ハンブルガーSV |
1979-1980 | バイエルン |
1980-1981 | バイエルン |
1981-1982 | ハンブルガーSV |
1982-1983 | ハンブルガーSV |
1983-1984 | シュトゥットガルト |
1984-1985 | バイエルン |
1985-1986 | バイエルン |
1986-1987 | バイエルン |
1987-1988 | ブレーメン |
1988-1989 | バイエルン |
1989-1990 | バイエルン |
1990-1991 | カイザースラウテルン |
1991-1992 | シュトゥットガルト |
1992-1993 | ブレーメン |
1993-1994 | バイエルン |
1994-1995 | ドルトムント |
1995-1996 | ドルトムント |
1996-1997 | バイエルン |
1997-1998 | カイザースラウテルン |
1998-1999 | バイエルン |
1999-2000 | バイエルン |
2000-2001 | バイエルン |
2001-2002 | ドルトムント |
2002-2003 | バイエルン |
2003-2004 | ブレーメン |
2004-2005 | バイエルン |
2005-2006 | バイエルン |
2006-2007 | シュトゥットガルト |
2007-2008 | バイエルン |
2008-2009 | ヴォルフスブルク |
2009-2010 | バイエルン |
2010-2011 | ドルトムント |
2011-2012 | ドルトムント |
2012-2013 | バイエルン |
2013-2014 | バイエルン |
2014-2015 | バイエルン |
2015-2016 | バイエルン |
2016-2017 | バイエルン |
2017-2018 | バイエルン |
2018-2019 | バイエルン |
2019-2020 | バイエルン |
2020-2021 | バイエルン |
2021-2022 | バイエルン |
2022-2023 | バイエルン |
歴代最多「32回」の優勝回数を誇るバイエルン・ミュンヘン
ブンデスリーガは1963-1964シーズンにドイツ初の全国リーグ(当時の参戦クラブは西ドイツ圏のみ)として開幕し、記念すべき初代王者に輝いたのはケルンでした。のちに歴代最多優勝クラブとなるバイエルンは、開幕から3シーズン目の1965-1966シーズンから参戦しました。
1968-1969シーズンにブンデスリーガ初優勝を果たすと、昨年度の2022-2023シーズンにはトーマス・ミュラー選手やジャマル・ムシアラ選手、ヨシュア・キミッヒ選手らを擁して11シーズン連続、通算32回目のリーグ制覇を成し遂げました。なお、バイエルンはブンデスリーガ以前のドイツ・サッカー選手権でも優勝しているので、国内リーグ戦の優勝回数は33回となっています。
2位は「5回」の2チーム
ブンデスリーガの優勝回数で2位タイにつけているのは2チームです。一つは日本代表の板倉滉(いたくら こう)選手が現在所属しているメンヘングラートバッハです。ただ、最後に優勝したのは1976-1977シーズンで、2位になったのも1977-1978シーズンが最後です。黄金時代とも言える1970年代以降は中位が定位置となり、2019-2020シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグの出場権を確保していますが、昨シーズンは10位に終わりました。
もう1チームはドルトムントです。1994-1995シーズンにブンデスリーガ初優勝を果たすと、1995-1996シーズンでもリーグ制覇。香川真司(かがわ しんじ)選手やロベルト・レヴァンドフスキ選手らが在籍していた2010-2011シーズン、2011-2012シーズンに2連覇を達成しています。その後は長らくバイエルンがリーグタイトルを手中に収めているなか、昨シーズンはジュード・ベリンガム選手らが活躍。最終節で勝てば優勝という中で、マインツに引き分けてしまい、11年ぶりのリーグ制覇とはなりませんでした。
優勝経験のある日本人選手
日本人で初めてブンデスリーガ優勝を果たしたのは1977-1978シーズンのこと。当時ケルンに所属していた奥寺康彦(おくでら やすひこ)選手が歴史に名を刻みました。その後は、長谷部誠(はせべ まこと)選手と大久保嘉人(おおくぼ よしと)選手が2008-2009シーズンにヴォルフスブルクの初優勝を経験し、先述の通り香川選手がドルトムントでブンデスリーガ連覇を経験しました。
現時点でブンデスリーガ優勝経験のある日本人選手は、奥寺選手、長谷部選手、大久保選手、香川選手の4人。今シーズンは堂安律(どうあん りつ)選手や遠藤航(えんどう わたる)選手、明治大学からJリーグを介さずブレーメンに入団した佐藤恵允(さとう けいん)選手ら多くの日本人選手がプレーすることになりますが、ドイツの地で栄冠を手にする選手は現れるでしょうか。
2023-2024シーズンの優勝チーム予想
バイエルン
ブンデスリーガ11連覇中の絶対王者・バイエルンの7月28日時点でのブックメーカー社のオッズは1.28倍ともっともオッズが低く、優勝候補の筆頭に挙げられています。
昨シーズンは王座陥落の危機に追い込まれた年でもありました。盤石の強さで勝利を重ねていた例年とは違い、エースストライカーのロベルト・レヴァンドフスキ選手が開幕前に移籍し、シーズン途中には守護神として君臨していたマヌエル・ノイアー選手の長期離脱。その影響は小さくなく、パフォーマンスに波のあるシーズンを過ごしていました。
第25節終了後に、クラブはユリアン・ナーゲルスマン監督を電撃解任。トーマス・トゥヘル新監督の下、再スタートを切ると、第26節に優勝争いのライバル・ドルトムントとの直接対決「デア・クラシカー」に4-2で勝利。最終節の時点では2位につけていましたが、他会場の結果も受けて最後に劇的な逆転優勝を成し遂げました。
今シーズンは、昨シーズンまで主力だったリュカ・エルナンデス選手をパリ・サンジェルマンに引き抜かれてしまいましたが、代わりに韓国代表のキム・ミンジェ選手をナポリから補強しました。さらにはライプツィヒのコンラート・ライマー選手、ドルトムントのラファエル・ゲレイロ選手が加わり、“ブンデスリーガ・オールスター”と言っても大袈裟ではないタレントたちが名を連ねています。ヨーロッパでも群を抜く戦力を抱え、リーグ12連覇が懸かる今シーズンは他を寄せつけない圧倒的な成績を残せるでしょうか。
ドルトムント
昨シーズン、最後の最後にリーグタイトルを取りこぼしてしまったドルトムントのブックメーカー社のオッズは、7月28日時点で6.00倍です。最後にブンデスリーガを制したのは、香川選手が在籍していた2011-2012シーズンでした。その後は11連覇中のバイエルンの後塵を拝し、常に2番手という立ち位置にいます。
昨シーズンは、ジュード・ベリンガム選手やドニエル・マレン選手ら若手選手たちが大きく成長し、精巣がんで闘病していたセバスティアン・アレ選手が後半戦に入って復帰するなどチームとして好調でした。しかし先述の通り、最終節で勝てば優勝という状況でマインツに引き分け。最後の最後でバイエルンに首位を明け渡してしまうという、もっとも悔しい形で11年ぶりの戴冠を逃してしまいました。
雪辱に燃える今シーズンは、中核を担っていたベリンガム選手がレアル・マドリーへ移籍。アンスガー・クナウフ選手がフランクフルトへ、ラファエル・ゲレイロ選手がバイエルンへと戦いの場を移しましたが、後釜としてフェリックス・ヌメチャ選手をヴォルフスブルクから、サイドバックながら昨シーズン25得点を挙げたラミ・ベンセバイニ選手をメンヘングラートバッハから獲得して申し分のない戦力を揃えています。今シーズンこそは、悲願のリーグ王者になれるか。前年度の借りを返したいシーズンになります。
その他の優勝候補
7月28日現在、ブックメーカー社のオッズでバイエルンとドルトムントに次いで低いのは、13.00倍のライプツィヒです。世界的飲料メーカー『レッドブル』がメインスポンサーにつき、潤沢な資金力を持つ同クラブは近年、ドイツのみならずヨーロッパで大きなインパクトを残している新興勢力です。昨シーズンは3位につけ、リーグの得点王に輝いたクリストファー・エンクンク選手がチェルシーへ、ドミニク・ソボスライ選手がリヴァプールへと移籍してしまいましたが、ドイツ国内のホッフェンハイムからクリストフ・バウムガルトナー選手、リーグ・アンのランスからロイス・オペンダ選手といった将来を有望視される選手を多く補強しました。
その他に、昨シーズン6位のレバークーゼンが51.00倍、ウニオン・ベルリンと長谷部選手が所属するフランクフルトが同率で101.00倍のオッズとなっています。今シーズンもバイエルン、ドルトムントが首位を争う構図となりそうですが、そこに追随するライプツィヒなどの上位のチームが今シーズン、どんな戦いをし、どんな成績を残すかも焦点となりそうです。
まとめ
1963年に開幕したブンデスリーガでは、これまで12クラブが優勝を経験してきました。しかし、60年におよぶ歴史の中でバイエルンが半数以上の32回の優勝を誇り、現在は11連覇中と絶対王者の名に相応しい戦績を残しています。
近年圧倒的な力でリーグを席巻していたバイエルンですが、昨シーズンの結果が物語っていたように、その構図は崩れようとしています。リーグ制覇に手が届きそうで届かなかったドルトムントをはじめ、新興勢力のライプツィヒ、例年上位に食い込んでくるウニオン・ベルリンやフライブルクにもチャンスは大いにあるはずです。
1977-78シーズンにケルンで優勝に貢献した奥寺選手を筆頭に、ヴォルフスブルク時代の長谷部選手や大久保選手、ドルトムント時代の香川選手など、日本人選手たちも「マイスターシャーレ」を掲げてきました。FIFA ワールドカップ カタール 2022のドイツ戦で逆転弾を決めたボーフムの浅野拓磨(あさの たくま)選手をはじめとする多くの日本人選手が、今シーズンもブンデスリーガでしのぎを削ります。全34節を終えた時、どのチームが頂点に君臨しているのか、そこに日本人選手はいるのか。新シーズンのブンデスリーガも目が離せないことでしょう。