将棋日本シリーズJTプロ公式戦の1回戦第4局が8月5日、福岡市の「福岡国際センター」で行われ、糸谷哲郎八段(34)が広瀬章人八段(36)に159手で勝利して2回戦進出を決めた。次戦は9月23日、北海道札幌市の「札幌コンベンションセンター」で優勝3回を誇る豊島将之九段(33)と対戦する。
奨励会入会同期、新人王をはじめビッグタイトルの竜王獲得の共通点を持つ両者による注目の一戦は、糸谷八段が快勝を飾った。相雁木の出だしから、先手の糸谷八段は直近の公式戦でも経験した進行に。途中で前例を離れ両者間合いを取るじりじりとした展開となったが、糸谷八段が桂打ちで強く出てペースを握った。後手の広瀬八段は飛車を成り込む成果を作ったものの、すぐに逃げ場所を封じられ攻撃態勢を整えることができない。狭撃を狙う勝負手を放ったものの、糸谷八段のリードを切り崩すことはできずに、ぐんぐん差は開くばかり。攻守のバランス良く押し切った糸谷八段が快勝で2回戦進出を決めた。
勝利した糸谷八段は「本局では相雁木の将棋になりましたが、練っていた構想がこういう場で出せて嬉しい。飛車をもらって少し良くなったと思った。駒をもらって自玉が安全になった辺りからは少し良く指せたのかもしれない」とコメント。一方、敗れた広瀬八段は「封じ手の辺りで難しいと思っていたが、桂打ちで飛車を取られる筋をとうっかりしていた。苦しい時間が長い将棋だったというのが正直な感想。手数は長かったですがじわじわと差を広げられてしまう展開で、内容としては悔いが残るが今の自分なら仕方がない」と振り返っていた。
JTプロ公式戦は前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者から12人が選出されるトップ棋士たちによるトーナメント戦。持ち時間は各10分、切れたら1手30秒未満、各5分の考慮時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)