副業で月収3万円「週1副社長」やりませんか?に応募者が殺到 地方企業とビジネスエリートのウィンウィンを成立させた「仕掛け」とは?
【映像】「気が合いそう」元コンサルの週1副社長が老舗企業に新風を吹き込む
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 人口約54万人と、47都道府県で最も少ない鳥取県では、高齢化も進み働き手の確保が急務となっている。人材は不足しているものの、正社員を雇うほどの仕事量も資金もない。地方の中小企業のこうした悩みを解決できる働き方革命が鳥取県で起きている。

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 働き手の確保が課題になっている鳥取県で、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点の戦略マネージャー、松井太郎さんが斬新な働き方革命を起こしている。

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「正社員での人材確保が難しければ、ビジネス人材の力を分割で借りて、県内企業の経営課題を解決することができないかなと。年収1000万円の人の力を必要な時に分割で借りる。そういった発想のもとに『週1副社長プロジェクト』を開始した」(以下、松井さん)

 「週1副社長」という新発想。これは、都市部のビジネス人材を正社員として雇用するのではなく、副業かつオンラインで鳥取県内の企業の業務に携わってもらうという取り組みだ。月額報酬は約3~5万円。安価な報酬で、都市部の大企業に勤める有能な人材のスキルや助言を得ることができる。

「安価に設定しているのは、企業側、人材側ともに気軽にスタートできるよう心がけているため。また、志願理由がお金だけではない人に来ていただきたいという思いもある。都市部の人材から見ると、日頃接することができない経営者の考えに触れられ、必ず本業に生かされる。ご自身のスキルアップ、キャリアアップという形で考えられている方が多い」

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 スタートした2019年度は、14社の募集に対して1369件の応募があり、25人を採用した。倍率はなんと55倍。その後も応募数、マッチング数ともに右肩上がりで伸びている。

 この「週1副社長」プロジェクトに賛同し人材採用を決意した老舗企業が、事務用機器の販売やリースなど幅広い事業を行う、明治38年創業の金居商店だ。4代目社長の金居洋子さんは、家族経営ならではの悩みを抱えていた。

「父が会長をしており、仕事の相談をすると家族間なのでどうしても感情的になることも多い。なるべくお互い冷静に話をしようと思っているが難しい」(以下、金居さん)

 金居社長に必要なのは、客観的意見を述べてくれる「相談相手」。その役割が「週1副社長」のお手軽感とマッチすると考えた。

「地方のこんなに小さな会社にご応募いただけるんだろうかと正直思っていたけれど、応募者が3日で10名を超えた。驚きと同時にだんだん面白くなってきた」

 その中から「気が合いそうだ」と直感で選んだのが、コンサルティング会社に勤務経験のある斉田雄介さんだった。

「最初に中期経営計画の作成を一緒に取り組んだ。会社の歴史が長い分、業務内容が伝聞で成り立ってる部分もかなり多かったが、斉田さんが得意分野ということで関わってくれて、あれよあれよという間に中期経営計画ができあがった。会社の全体像も見え、方向性が決まってきて、見える化、言語化することがこんなに大事だったんだと実感した」

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 創業以来初となる試みだったが、「週1副社長」斉田さんのスキルがいかんなく発揮された。やり取りは2週間に1度のオンラインミーティング。アイデアやひらめきは随時SNSやメールで連絡し、フルリモートでもまったく支障はないという。

 「週1副社長」とのタッグで新規事業もスタートしている。冷凍ラーメンを自動販売機で販売するというもので、斉田さんには東京都内にある冷食自販機や、有名ラーメン店のリサーチをお願いしたという。

「週1副社長最大のメリットは、出会う事ができない方たちと、まず出会うことができ、その方たちに自分の事業に関わっていただけること。右腕として伴走者として、ふとした気づきやアイデアを相談できるだけでもかなり救われる」

 「週1副社長」生みの親、松井さんも、このプロジェクトを通じてさまざまな問題が解決できると確信を強めている。

「副業・兼業を通じて移住就職に繋がったケース、あるいは事業承継に繋がったケースも鳥取県の中では出てきているので、この副業・兼業を通じたプラットフォームを作ることでスタートアップ支援、事業承継、移住就職、全ての人に関する問題を解決できる。こんな取り組みができれば来年度以降おもしろいのではないかと思う」

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 この取り組みついて、キャスター取締役CROで“Mr.リモートワーク”こと石倉秀明氏はこう話す。

「いくつかの視点があると思うが、まず1つは時間・場所を問わないこと。特に短時間の働き方ができると優秀な人はいくらでも集まるのも事実だと思う。人手不足っていうのは『この条件の中だと集まらない』というだけで、働き方や状況を変えると人は集まりやすい」(以下、石倉氏)

「また、会社から見ると守り神的な意味合いが大きいと思う。地元の友人から起業の相談を受けることがあるが、ホームページ1つ作るにしても、作成依頼の相場などが全然わからず、大したことないものにとんでもない金額を請求されていたりする。知らないから起こることなので、知っている人が助言、方向修正するだけで、会社として致命的な失敗を避けられるメリットとしてはめちゃくちゃ安い」

副業をするにあたり、時間と場所を問わないことはそれほどまでに重要なのか?

「とても大事。副業希望者に対して、副業できる場所はそんな増えていないと思う。本業の会社で働いた後に、副業先に『来てください』と言われても行けない。本業に支障なく小さく働ける場所と環境をどれだけ用意するか。仕事を出す側の変化が求められている」

(『ABEMAヒルズ』より)

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