「税金でフランス旅行か!」「遊びに行ったの?」「行く意味なし!」。自民党女性局38人による3泊5日のフランス研修が、「観光旅行」などと批判されている。
これを受けて『ABEMA Prime』では、出生率は1.80(日本は1.26)と結果を出しているフランスから“出張なし”で学ぶ。
異次元の少子化対策を掲げる日本は何を取り入れるべきなのか? パリ在住の子ども家庭福祉研究者と共に考えた。
■「フランスが子どもをプレゼントしてくれた」
フランス子ども家庭福祉研究者の安發明子さんは2011年に渡仏、フランス国立社会科学高等研究院で修士号を取得。3年間の不妊治療で子どもを授かった。今は子育てをめぐる現地の情報を調査・研究、日本に発信している。
━━不妊治療や自身の進学において、どのようなサポートがあったのか。
不妊治療を無料で受けて子どもを授かったので、フランスが子どもをプレゼントしてくれたように感じている。日本でも不妊治療をしたことがあるが、医者に会う前に28万円の支払いを求められたこともあったので対照的だ。大学院についても年間の学費が無料から3万円だったのでチャレンジができ、今の仕事につながった。
━━子どもが生まれた後も、「私立高校の学費が年間数万円」など金銭面において大きなサポートを受けられるとのことだが、ハード面においてはどのような援助を受けられるのか?
例えば「週4日間は里親のところで子どもを預かってもらって、週3日は自分で見る」など臨機応変なサポートを受けられる。また、日本でいうヘルパーさんのような方たちに、週3回3時間ずつ家事や作り置きを頼めたりと、シングルであっても子育てがしやすい環境にある。
━━日本とフランスではそもそも支援に対する考え方が異なるようだが。
フランスの場合、サポートが行き届いていない人がいたら、それはソーシャルワーカーの落ち度となる。市民が権利を得られているかを確認することが彼らの使命。この点は生活保護など「福祉に頼らないことこそが美徳」という日本とは大きく異なる。
■単身の高所得者は高負担
「フランスの手厚いサポートの財源」はどこにあるのか。
フランスでは租税負担率24.9%、社会保障料負担率45.0%であり、合計の国民負担率は69.9%。一方、日本ではそれぞれ19.8%と28.2%で合計47.9%(出典:財務省)となっている。
それでも予算が不足しているため、国が年金受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げることを考えた。これをめぐり、全土で5カ月以上にわたり14回の反対デモが起き、のべ1000万人以上(内務省発表)が参加した。
━━税負担は所得や家庭によって異なるのか。
単身で子どもがいない方はかなり大きな負担を背負うことになる。それと対照的に夫婦で子どもを2人産んでいれば大きく優遇される。
━━子どもがいない家庭から不満の声はないのか。
個人差はあるが、「子どもはみんなで育てるものだ」という考えが共有され、根付いているようだ。
━━日本でも異次元の少子化対策をするということで、岸田政権は来年度から3兆円台半ばの予算を計上しているが、この政策をどう評価しているか。
フランスと日本、どちらも掲げている方針はほぼ同じだ。だが、それが実際に人々の暮らしに届くかどうかでは大きく異なると感じている。
(『ABEMA Prime』より)
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